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2004年09月26日

「アメ」と「ムチ」(加藤直美)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

数年前からお手伝いをさせていただいている葬儀社さんで「新人研修会」があった。
「葬儀」というものにすら満足に参列したことのない新人さんたちばかりである。もっとも葬儀の仕事は、世の中の多くの仕事の中で本当に特殊な職種であり、葬儀について詳しい新人なんていないに等しい。

緊張したその3人を前に「私もこういうときがあったなあ・・・」と懐かしくなった。年齢も経験も生活の環境も様々。多くの募集者の中から選ばれた人たちである。葬儀にまったくの新人がこれからの日々、どのようにこの会社に馴染んで、尚且つ生き生きと仕事をするに至るかがとても興味深い。そしてそのために経営者がサポートすることは何か?周りの社員ができることは何か?現場の先輩ができることは?そして接遇講師としての私がそのすべてをどのようにサポートすればよいか?ということを想う。

もちろんここは仕事の世界。仲良しクラブでもなければボランティア団体でもない。まずは「そこに飛び込んだ新人がどこまで頑張れるか」によるところがすべてだ。葬儀という仕事をどのように捉え、そこで自分をどのように生かすか。この仕事が好きか嫌いかぐらいは誰でもすぐに判断するだろし、とにかく3ヶ月位は放っておいてもあっという間に過ぎる。日々の現場仕事を次から次へとこなし、覚え、やってみて、失敗をして、怒られて、葬儀が繰り返し繰り返し目の前で行なわれ・・・の連続であろう。

葬儀の仕事をする人を選ぶときにまず基準となるのが、
①自主自立した人であること(人の後しかついて行けない人は難しい)
②多少の困難を越して行ける人であること(人前で怒られることぐらい平気でないと無理)③常識をわきまえた人であること(今更社会の常識をはじめから教える暇はない)
④この仕事で食べて行く!と腹をくくった人(いつでもどこかに逃げ道がある人には無理)
⑤素直で前向きプラス思考であること(すべての職種に通じる)・・・。 
まだまだ掲げたいが割愛する。

そして、新人は良くも悪くも周りの先輩のやり方を見て真似る。新人の成長の度合いは、そのままその葬儀社が試されていることにもつながる。世間一般にも大したことをやっていない会社で、それ以上立派な新人が育つわけがない。子は親の鑑(かがみ)なら、新人は先輩の鏡、社員は会社の鑑だ。それ以上にも以下にも育たない。

指導させていただく中で「ムチ」を与えることは多い。その「ムチ」に柔軟に立ち向かって行く新人の度量も求められる。しかし「ムチ」だけでは辛すぎる。新人だって人間。頑張りにはそれが何であろうと、それなりの「アメ」(フィードバック)も与えて欲しい。人が人を育てて行く難しさをいつも目の当たりにする。新人を育てる前に、育てる側が育っていない場合も多い。

さて、接遇講師としての私は研修会後のその新人たちがより良くスタートして行けるように、さらに具体的な内容をフィードバックしよう。言葉づかいや電話応対も大事だが業務を覚えることも優先される。新人がやるべきことは何か。それをどのように進めるか。そして葬儀という仕事を生き生きと成して行けるように、これからも私が精一杯できることで、その葬儀社さんを新人たちをサポートして行こうと思っている。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2004年09月26日 00:47

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