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2004年09月24日
9月24日(金) 連休の最中、数泊分のスーツケースを抱えて、初秋の東北A県の空港へ降りたった。 何年か前に車両販売社営業マン向け接遇研修会でよく来ていた県である。あれからわずか12~13年で葬儀社スタッフ向けの接遇研修会が葬祭ホールを舞台に繰り広げられるとは想像もしていなかった。
米どころA県。たわわに実った稲穂が雨にキラキラとぬれて輝いていた。研修担当者に連れて行ってもらった休耕田を利用したコスモスと黄色いマリーゴールド、ラベンダーの色彩鮮やかな群生が、疲れた私の心と身体を癒してくれる。それはそれは見事なお花畑だった。見渡す限りの田んぼに囲まれた地域での、男性ばかり十数名の葬儀担当者中心の接遇研修会だった。
まだまだ自宅葬が中心の葬儀社。ホール全盛の日本の中にあってどことなく懐かしい空気が漂う会議室と受講生の方々とで研修会ははじまった。 様々な場所で、様々な葬儀屋さんと出会う。難しそうな顔の人が多い会社、無口な人が多い会社、どちらかと言えば研修会が始まった途端に、少しおとなしい人に変化する受講生が多い中で、この葬儀社は何かが違う。一言で言って「明るい」「よく喋る」。そして何かやってもらおうとするとみんなが張り切る。新人もベテランも上手とか下手とかは関係なく、堂々と前に出てやろうとする。積極的である。ちょっと驚いた。うれしい驚きである。
果たして今まで出会った葬儀屋さんのキャラクターとはどんなものだろう・・・と考えた。あるとき関西の研修会で受講生に言われたことがある。「葬儀屋さんっていうのは、少し暗くて口下手で、なんとなく下を向いて立っているイメージですよね。世間の人にはいいイメージはなくて、どことなく世離れしている感じじゃあないですか・・・」と。紛れも無く葬儀を仕事にしている人の口から出た言葉だった。私はポカンと口があいたまま、すぐに言葉が出なかった。そして気を取り直して少し反抗的にこう言った。 「それは、アナタがそう思っているだけでしょう?」と。
私は派遣社員として幾多の葬儀をお手伝いしてきた。その中で延べ数十人の、いや数百人の担当者と出会ってきた。葬儀スタッフの目的は「葬儀を成功に導くこと」。そしてその中にあって担当者は、多くのスタッフを一つにまとめながら、出会って間もない喪家と親族と不特定多数の関係者及び会葬者を支えて、引っ張ってリードする。そういう人が、暗くて引っ込み思案でナニができるというのであろう。 葬儀屋さんこそ、積極的で前向きでリーダーシップを発揮する人が多いことを私は知っている。そしてそうでなくて「葬儀」という悲嘆のお客様を相手にした2度とやり直しがきかないセレモニーをリードして行くことは難しい。
東北の研修会で出会った葬儀社社員の明るく素直な人間性が、悲しみのお客様を暖かく包み込むという葬儀の接遇につながっていることを心から祈る。 葬儀の現場で出会うお客様は血の通った人間。 そしてその方々をお世話する私たちもそれ以上に暖かい血の通った人間でありたいと思う。
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投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2004年09月24日 00:47
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