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2004年12月25日
先日の初エッセイにも書いたが、私はかつて演奏家であった。 その頃、某有名会社から派遣されて、 年に2回海外演奏旅行に出向いていた。 一ヶ月も、たった一人で!ですぞ。 そこで今日は皆様に息抜きがてら、題して “ 危機一髪、ベネズエラ・ホテル泥棒事件! ” なんぞ話してみようと思う。 当時の私は20数年前の松田聖子ちゃん並みの アイドル的?多忙スケジュールを極めていた。
それは、ベネズエラでのある真夜中の事だ。 一日の仕事を終えグッタリと、漸くベッドに潜り込んだ矢先の事だ・・・。 何か嫌な気配を感じドキドキしながら薄目を開けたら、 なんと!黒い大男が私の鞄をあさっているではないか。 瞬時に私は思った。 “ 確か財布の中身は日本円にして3万円は入っているはずだ ” (この緊急時に額を計算している場合でもないのだが) 下手に騒いで拳銃で撃たれでもしたらたまらんので、 私は息を潜めて様子を窺っていた。
すると大男は出口ではなく、今度はこちらに近寄ってくるではないか。 こりゃ大変だ。 “こんな見知らぬ国で襲われて、ましてや大金3万円も盗られて、 そのお金でいい思いなんかされるくらいなら死んだ方がましだ” 私は一か八か、唯一枕元にあった時計を武器にムンズと起きあがり、 ド関西弁でまくしたてた。
何をまくしたてたかは定かではないが、とにかくわめきちらした。 すると男はあっさり部屋から退散したのだった。 私がよほど鬼気迫る形相をしていたのだろう。 それとも関西弁は世界に通用するのであろうか。 逃げ去るその一瞬に見た横顔と後ろ姿は、 なんと毎日顔を会わせているホテルマンではないか。 それもフロントマネージャーだ。
私はガタガタと震えながらポルトガル語の辞書を片手に 見たことの全てを単語の羅列にしてメモ書きし、 意を決して夜中の4時、静まりかえるロビーへと降りた。 ここで泣き寝入りをしないところが私の度胸の座ったところだ。 支配人室に乗り込み、警察を呼びつけそいつをつき出し、 3万円もしっかり取り返した。 たった、たった一人で。 そうして眠れぬまま翌朝は、次の国エクアドルへと飛んだのだった。
この一件でクサクサとした気分を引きずりながら、 それでもまあ赤道にも立ち、 とりあえず満足して帰国したのだったが、驚くべきはその後だ。
私がスタッフに「うら若き乙女を危ない海外へ一人で飛ばせて 何かあったらどう責任を取ってくれるんじゃい」と 詰め寄った時に返ってきた言葉だ。 「いやぁ、これで君にはこれからも一人でどこへでも行ってもらえるねぇ」 開いた口が塞がらないとはこの事か。 トホホ・・・風の便りに聞くと、 私が海外活動引退したその翌年からは、 しっかりとプレイヤーにアテンドが付くようになったそうな。
余談はさておき、現在進行中の仕事、葬儀のBGMの曲だ、曲! 曲そのものはとっくに仕上がっているのに問題続出なのだ。 弾いてみる度にゲンナリするのだ。 めくるめく音色が脳裏には巡っているにも関わらず、 現実の音が伴わず納得がいかない。 アレンジもしかり、こーもあーもしたいのに、 すれば御法度、葬儀のBGMには相応しくなくなるのである。 うーーーーん 来る日も来る日もそんな終わりのこない日々に 頭を抱え込んでいる今日この頃だ。
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投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2004年12月25日 22:48
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