ＭＣプロデュース

エレベーターガールはダブルシフトと言って、
１時間エレベーターに乗ったら、１時間休憩です。
８時間勤務ならば、エレベーターに乗っているのは４時間
（もちろん休憩時間もアルバイト代は、いただけます）
時給も割りと良かったし、何といっても半年ごとに変わる
その時の流行を取り入れた有名デザイナーの制服を着れるのが魅力でした。

２年ほど続けましたが、いろいろあり勉強になりましたよ。
エレベーターガールにとって、１階での呼び込みは大切な仕事です。
３基のエレベーターが１階、最上階、途中階に分散できるように
実は呼び込みをしながら時間調整をしているのです。
扉を開けたままエレベーターから降りて
方向階を腕から指先までを使い（直角にして・・・美しく見える）、
『上へ参ります。上でございます』
と呼び込みをしながら、それと同時に上半身も4分の1、右に回転させ
正面に向き直す動作を繰り返すのです。
葬儀接客でも方向の示し方の勉強が取り入れられていますが、
エレベーターガールの方向指示は大げさにやり、お辞儀は最敬礼が基本です。
カッコ付けてモタモタしているうちに、
お客様にエレベーターを乗っ取られた事もありましたけどね。
（あ～カッコ悪っ・・・戻ってくるまで恥ずかしかったですよ）

それから、痴漢も居ましたなぁ～。
密室ですから、人相の怪しい男性が一人だけ乗って来るとホント怖かったです。
（背を向けているので無防備ですからね）
そんなときは、各階のすべてのボタンをあらかじめ押しておいて
逃げられる準備をしておき、エレベーターの扉が開くと同時に
テナントさんに助けを求めるのです。
『この人！痴漢です』と大声で。

また渋谷パルコの２号機（真ん中）は・・・（ここだけの話ですけど）
幽霊が出るという・・・うわさを知っていますか？
これまた嫌でしたね。
（誰も乗っていない怖いときも、故意的に各階停止です・・・アハハ）
１８：００以降は、エレベーターボーイにチェンジするのですが、
なんども幽霊を見たとか・・・。
（実際に点検中の作業員さんが亡くなっているらしいです）

この他、お客様ごとエレベーターに閉じ込められたり、
二日酔いの日は、昇降の度にエレベーター内で気持ちが悪くなり、
お客様を置いてけぼりにして飛び出したり・・・
（二日酔いの日はこの仕事ホント最悪！ あれっ？２０歳前じゃん）
また、最上階がパルコ劇場だったので、芸能人にも大勢会うことが出来ました。
接客の指導は厳しかったですが、箸が転がってもおかしいお年頃・・・。
楽しかったいい思い出です。

２０歳前の未熟な私の接客業の第一歩。
このエレベーターガールがきっかけとなり、
司会業についたと言っても過言ではないでしょう。
今は、渋谷パルコのインフォメーションセンターも無くなり、
エレベーターも自動になってしまい寂しい気もしますが、
パルコに立ち寄ると懐かしさで一杯になります。
２０年ほど前、渋谷パルコのエレベーターにお乗りになった事がある方！
お会いしているかもしれませんね。
（飛び出した私と・・・）