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| メモリアルリポート(橘 貴美子) »
2005年02月17日
どんな国への旅が、後になって印象深く、 そして懐かしく思い出されるかというと、 以前にも述べたベネズエラでのドロボー事件がそうであったように、 これが意外と、その時には泣きそうだったり、 ひどい目に遭ったりした国の方だったりする。 不思議なものである。 そういった意味では、シンガポールは比較的印象が薄い。 煙草一本捨てても、かなりの罰金刑があるというだけのことはあって それは見事なまでにチリひとつ落ちていない 美しい街だったという記憶しかない。 勿論、コンサートや人々との触れ合いは格別のものがあったが・・・。
何がこの旅でおもしろかったかというと、マレーシアの方で、 例えばコンサート会場に向かっている道中など、死にそうだった記憶がある。 バナナが、ヤシの実が、ワシワシと空高くなっている ほとんどジャングルといっていい山の悪路をジープで5時間も6時間も 移動するものだから、38キロしかない私の身体はピョンピョンと 上下左右に車内で延々と飛び跳ねるのだ。 (えーかげんにしてくれぇ~) そんな車中から、吐きそうになりながら目にしたものは、沼のようなドブ池で、 腰に布を巻いただけの男たちが身体を洗っている光景だった。 純粋なマレー族は町の方には決して来ないというから、 多分あれは本物のマレー民族だったに違いない。 こんな奥地まで来たかと思うと胸が躍った。 気分は、まるでテレビ番組の “世界うるるん滞在記”や、“世界不思議発見”の 秘境を行く女の子さながらである。
そして、踊り狂うジープは奥へ奥へと走り、 この先の何処にホールがあるのかと不思議に思っていると、 突然、映画館と称されるちょっとした舞台があって、 (掘っ立て小屋に近くもなかったが) そして、これまた何処から集まってくるのかと思うほどの 一応普通の格好をした人達が、ゾロゾロと私の演奏を聴きに来るのだ。 そして、コンサートで乗りに乗ってくれた後、 その超高価なシンセなる楽器を購入したい、という人がちらほらいた事には、 ジャングルとのギャップがありすぎて驚いたものだった。
あと印象に残っているのは、食べ物で言えば俄然マレーシアンカレー! (日本のスーパー等で売っているマレーシアンカレー、 ありゃ全く嘘に近いね。全然具も色も似ても似つかぬ味だった。) さすがに現地の人さえ敬遠するほどの辛さなので、 口にして一秒後には顔面の毛穴が一気に開ききったが、 それを私は口から火を噴きながら、ご機嫌宜しくペロリと美味しく頂いた。 やはり一般の人が観光では行かなさそうな場所や、 現地人的な食べ物やふれあいこそが旅の醍醐味。 後になって懐かしい思い出に、おもしろく残るものだ。 私は、駐在員でも一度はあたるという海外の飲食物で、 一度もあたったことがない。 この胃腸の弱い私が。 そして、好奇心旺盛な為か、 大好きな日本食さえ一度も欲しいと思わなくなるのである。 何故かすんなりその国その国に馴染んでしまうのだ。 あと20才若ければ・・・ 本気で世界ウルルン~や不思議発見~のレポーターに応募したかったくらいだ。
このマレーシアで美しいと感じたのは、 さすが有名な観光地だけのことはあるコタキナバルの岬だ。 旅の最後のコンサート地、この2日間だけは、 ご褒美のように美しい夕焼けを見ながら、 どこかの新婚風カップルに紛れてひとり、 悠々とトロピカルカクテルを頂いたのを覚えている。
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投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2005年02月17日 03:45
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