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2005年03月06日

赤坂プリンスホテルでのある日(関谷 京子)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

20年前・・・
私の国内での演奏活動は、主にホテルでのセッションが中心だった。

演奏者の控え室は5階、ステージは40階にあった。
ある日、セッションを組んでいるユカちゃんと、
いつも通りステージへと向かうエレベーター内でそれは起こった。
乗り込んで暫く過ぎた時、突然エレベーターが周りのコンクリート壁に
ガンガンガーンとぶつかりながら、轟音を立てて揺れ落ちた。
(少なくとも、私はロープが切れて落ちているのだと思い込んだ)
緊急時には自動停止装置が作動する筈。
脳裏に“死”の文字が駆け抜けた。

ユカちゃんは私の腕を握りしめ、
私はジタバタしていたら、ふとドアが開いた。
12階だった。
しかし建物はギシギシミシミシと不気味な音をたてながら揺れている。
この時初めて地震だったのだと理解した。
とりあえず命拾いをした。

当分エレベーターは動かないと聞いて、
12階から40階まで非常階段で上がるしかない。
これがまたホテルの1階分は通常の倍以上あるときてるから
2度目の死にそうな思いをした。
二人とも両手でロングドレスの裾を思いっきりたくし上げ、
あられもない格好と形相で駆け上る駆け上る。

40階に辿り着いた時には汗だくで、膝が笑い、手は震え、
息が上がってしまい、心臓が口から飛び出しそうだった。
お客様の前をステージまでは颯爽と歩いたつもりだったが、
見た目も演奏もボロボロだったのはいうまでもない。

確か震度4か5程度だったと思う。
地震大国日本なので、ある程度は馴れているつもりだったが、
あのエレベーターの恐怖は今も忘れられない。

後でそのエレベーター内での、
二人のとった動きを人に話すと、皆に大笑いされたのだが、
私はとにかく
“止まれー止まってくれー”と手当たり次第
あらゆる階のボタンを震える手で押しまくっていた。
私にしがみついているユカちゃんが
『開けるボタンを押してー、開けるボタンを押してー!』
と私に叫んでいるのに(お前も押せよ)、
私は“閉まる”ボタンを必死で押し続けていたらしい。
(閉めてどうすんだよ)
人間、動転してパニック状態になると突拍子もない行動をするものだ。
皆さん、緊急時には落ち着いて、冷静に行動しましょう!
なーんて出来っこないじゃん、という一例でした。
ではまた。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2005年03月06日 03:30

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