ＭＣプロデュース

しかし今回は、単独企業で連続８回の研修会ということもあり、
現場からお寺さんに関しての施行報告書を上げてもらい、
差上を作り上げるまでの細かいアドバイスや焼香案内箇所、
導師退場前のお経などが個別にピックアップされ、
各宗派ごとのポイント指導が盛り込まれていた。



井手講師は、仏教学校に通っているくらいだから、
お経に関してもっと詳しく教えたくて仕方がないようだが、
お経の話になると皆・・・付いていけなくなる。
（井手講師も重々承知しているらしく、ポイントを絞った話にとどめていた。）
重要な貴重な話なのですが、ほんと難しいですからね。
ただ焼香案内箇所と導師退場前のお経が分かるようになるだけでも、
司会者にとってどんなに気が楽になるか分かりません。

導師が開式前ギリギリにやって来て、
「私が、焼香と言ったら焼香案内、立ったら退場だから・・」
と偉そうに言ったくせに、焼香案内合図を出し忘れたり、
立ったから導師退場だと思ったら、また座られたという
苦い経験をお持ちの司会者も多いはず。
（ゆっくりと打ち合わせをする時間も与えられないのに、
導師のミスまで司会者のミスみたいに思われて、かないませんよね。）
私も当初、背筋が凍る思いを良くしたものです。

まったく導師という奴は・・・こんなこともありました。
もう３年くらい前の話になると思いますが、それはそれは、大きな社葬の司会。
お正月でもあるまいし、初詣の参拝客のような参列者の長蛇の列。
儀式殿には、高さ１メートル以上ある壇上に導師がずらりと８人。
葬儀社さんが、前もって導師との打ち合わせはして下さっており、
焼香は、開式後すぐに・・・そして参列者の焼香が全員終わるまで
導師退場はしないと言う約束まで取り付けてくれていた。
葬儀社さんが時々、参列者の様子を紙で報せる戦法だ。

故人は、海外にまで店舗を持つ某有名グループの前会長さん。
限界まで焼香台を増やし、１回焼香アナウンスをしても
参列者の列はまるで途切れない。
お経は、繰り返し延ばしてくれている努力は伺えたが、
いい加減に痺れを切らしたのだろう。
１時間過ぎたあたりから、
「まだまだ来るよ～あぁ～」と脇導師達の嘆きが司会台まで聞こえてきた。
８人もいるから、２人くらいおしゃべりをしていても、
さほど支障はないのかもしれないが、後ろを振り向いては、
「まだかぁ～参ったな～」と脇導師達。
私も最初は、なんて不謹慎な導師達・・と思っていたが、
途中から笑いを堪えるに一苦労。
「もう退場しちゃおっか？壇上から飛び降りるか～。」
と導師のおしゃべりは続いた。
（導師の入退場の時には、登壇のための階段が供えられるのだが、
焼香台をたくさん置くために、退場まで取り外されていたのだ。）

私は、笑いを堪えるために自分の太ももをつねっていた。（これホント）
それから２０分くらいは、がんばってお経を続けてくれていたが、
突然、「願似此功徳（がんに～し～くぅ～どく）と回向文が聞こえて来た。
「まさか？勝手に退場？」私は、担当者に告げに行ったが、
「まだ合図を出してないから退場するはずが無いよ」と呑気この上ない。
「とにかく私の傍に居てください。退場かもしれないから」
と無理やり担当者を連れてきた。

お経本をしまい導師が立ち上がった・・・「（ほらね。）」
「導師が退場されますので、ご焼香は暫時お控え下さい。」
担当者が、慌てて階段を運んで来た。
「導師、式衆ご退場でございます。」
導師たちは、約束を破りしゃあしゃあと階段を降りて消えて行った。
「あんにゃろ～」とつぶやく担当者。
導師の話を鵜呑みにしてはなりません。

現場の皆さんは、こんな事、よくありますでしょ？
だからこそ、慌てないためにも
焼香案内箇所と導師退場前のお経は、是が非でも制覇するべし！
そう・・・導師は、信用ならぬ・・・人も多い。
もちろん、いい導師もたくさん居ますけどね。