乗り込んで暫くすると、お年60才位の車掌さんが、
マイクを持って、決して上手くはないながらも、
楽しげに汽車ポッポの歌をシュッポシュッポと歌ったり、
SL音頭と称する歌を披露してくれながら、車窓の案内をして下さった。
そのうちに座席を回ってきてくださり、
ご自分の車掌帽をチョンと頭にのせてくれて
一緒に写真まで撮って下さるサービス振りだ。
SLはポーッポーッと汽笛を鳴らし、白い煙を上げながら、
まさにシュッポシュッポと行き進んだ。
トンネルをくぐると煙が車内に充満するので、
その度に乗客達はガッタンゴットンと窓を開けたり閉めたりしながら、
まさに美しい大井川沿いを列車は走った。
茶畑も美しく緑に輝いていた。
さあ、いよいよ終点の駅に到着して押し合いへし合いで
SLをバックに記念撮影をして、帰りまでの2時間ほどの時間を、
切符を買ってから、川魚を食べさせてくれる店に行って時間を潰した。
私は真っ昼間から、やまめの塩焼きをほじくりながら、
生中ビールを2杯も飲んでご機嫌そのもの。
それにしても車窓の旅とはこれぞ!
というほど風情があり、SLの天井にはレトロな扇風機が回り、
勿論壁も窓も年期の入った渋い木枠である。
蒼いシートと背もたれで、二人がけ用の椅子が向き合っている。
私達夫婦は、子供に返ったように、このSLの往復3時間を楽しんだ。
やはり、列車の旅はいいものだ。
宿代さえもう少し安ければ尚良しだが、ゴールデンウィークじゃ致し方ないか。
予算オーバーでギリギリ帰ってきた。
でも久しぶりの旅だったし満足したからいいっか。