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2005年07月30日

80才?のお友達(関谷 京子)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

私には80才位の10年来の親友がいる。
(何故、位かというと、何があっても絶対に年齢を明かさない女性だからだ)
彼女とは電話で3時間も4時間もあれやこれやと話をする仲だ。
喧嘩だってしたことがある。
不思議なほど年の差を感じさせない、おばあちゃんとは呼ばせない何かがある。
恋の話だってしてくれるし、ご苦労されながらも年を重ねてきただけの
エスプリのきいた話や人間の心のひだの部分まで、
必ず毎回話してくれる素敵なお友達だ。

その英子さんと先日赤坂にある某有名ホテルでデートをした。
約束の時間に現れた英子さんは、上品なベージュ地に
薄草色と桃色の糸が織られている地味ながらも素敵な紬のお着物姿だった。
まずはお茶をしましょうということになり、
見事な日本庭園の見えるティーラウンジでコーヒーを注文し、
尽きぬ話をあれこれとした。
その後、綺麗に手入れをされた庭園へ出て、散歩をした。
そこには優雅に鯉の泳ぐ川や朱のアーチを描いた橋があり、
涼しい風に吹かれながら話をし、その、元お屋敷の庭園を歩いた。
都会の真ん中で、何故かそこだけ時間がゆったりと流れていた。

ひとしきり散歩を終えたら、今度はホテル内にある美術館へ行きましょう、
と英子さんはおっしゃった。
18世紀頃のフランスの田舎町や人々の暮らしぶりを描いた版画展をしていて
絵を趣味に描く私には、とても興味深く観て回れた。
お客さんは私たち二人だけで展内は静寂そのものだった。
そしてまだ全部観終わっていないのに、
英子さんは真ん中のソファに座りましょうと言い、
絵とは関係のない話ばかりを長い時間した。
「絵を観ないでお話ばかりしていて可笑しいわね」
と私が言うと、彼女は、
「あら、それもいいじゃぁありませんか、素敵な絵に囲まれているだけでも
気分がよろしいじゃぁないですか」
とおっしゃる。
この言葉に私は感動した。
そうか、囲まれているだけでも素敵だという感性に、
また一つ新しい発見をさせて頂いた。

高級ホテルなんて、かつて仕事でなら毎日通ったものだけど、
やはりお客として利用すると、こうも違うものかっていう程、
優雅なひとときを提供して頂けるのだなぁ・・と、つくづく思った。
それにしても目から火が噴き出しそうになったのは、ティールームで
「英子さん、お茶ぐらいはご馳走させてね」と言ってレジに行くと、
しめて二千五百円なり!と言われた時だった。
やはり、優雅な時間と空間代金込みという事か。
ま、年に一度位それもいいか、と思ったら、英子さんは
「今度は季節の折々にお会い致しましょう。そして次は向かいのホテルで
お会いしましょう。趣がまた違って良さそうですものねぇ」
ときた。
普段、とても慎ましくお暮らしになっていらっしゃる彼女だけれど、
どうもここへきて優雅な空間に目覚めたらしい。
・ ・・えらいこっちゃ・・・

<石川の割り込み>
今週末は、寿の司会はお休みだわ!
と思っていたら通夜・葬儀の司会を頂きました。
最近は、無宗教葬の司会の依頼の方が仏式より多い気がします。
「あの世に行ってまでもお戒名で序列を付けるのは、おかしい!」と
故人が生前に無宗教葬を希望されたそうです。
「自分は、永遠に本名のままでいい」と・・・。
年配の方なのに素敵だと思います。
(別に無宗教を支持する訳ではありませんがね)

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2005年07月30日 00:23

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