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2005年07月14日

ONとOFF (加藤直美)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

先日、前にエッセイでもお伝えした
渋谷区幡ヶ谷保健所主催「生活習慣病予防教室」が開催された。
私はミュージックセラピストとしての講演会とセラピーの実践をさせていただいた。
渋谷区在住の皆さん向けの全8回の健康教室の5回目である。
予防教室ということだが、大体このような所に来る方々は、
元気で前向きで積極的な人が多い。
子育ても終わり、まさに自分の人生を楽しんでいるような
50代~の女性中心の教室だった。
「10年後の私?」
なんて思いながら多くの人生の先輩たちと2時間の楽しい時間を過ごした。

すでに10年以上携わる私のミュージックセラピーは、
私自身のボイストレーニングの経験から考案したものである。
本格的にジャズやポピュラーを歌うときに、深い発声発音とブレス(息)の勢いは、
欧米人に比べると日本人は圧倒的に浅く、弱い。
ミュージカルを好んで歌っていた私も欧米人のように迫力ある歌が歌いたくて、
数年間にわたりそのトレーニングを積んだ。
発声発音のトレーニングは、1時間近くを歌も歌わせてもらえずに、
ブレス(息)&ボイス(発声)トレーニングばかりをやらされる。
ジャージに着替えて、ストレッチ体操から始まる。
しかし、しっかりとトレーニングをしたあとは、ものすごくスムーズに声が出る。
音域も広がる。
深く甘い大人の声が出てくる。

数年の訓練を経て、歌うときの大きな表現も細かい言葉のタッチも、
私なりに現できるようになった。
そして不思議なことに「声を出す」ことで、
身体の緊張から開放されて行く自分とも出会った。
私は子供の頃は緊張症だった。
普段はいいのだが人前で何かをするときに、必要以上に心身に力が入る。
ピアノの発表会などは「怖い」思い出ばかりだ。
今でもミュージカルの舞台でセリフを忘れたり、
覚えていない歌を歌うという夢をよく見る。
私の「幼い頃のトラウマ」かも知れない。
冷や汗もので目が覚める。

今私は、そもそも「歌う」という行為は、
音楽をつかって言葉を表現しながら「自分自身を開放すること」だと思っている。
そして「自分の開放」とは、心と身体のリラックスから始まる。
歌うことで、よりリラックスした自分を見つけてもらいたい。
「あるがままに、そうしたいように歌うことで、
いつの間にか自分が何かから解放されて行く快感を知って欲しい」のだ。

自分を奮い立たせて頑張ることも大事。
でも頑張らないこともそれ以上に大事。
生きて行く上ではある程度の緊張も必要。
でも緊張した後にはその力を抜くことがさらに必要。
ON(頑張ること)を続けたら、必ずOFF(気を抜く)の時間を持つこと。
それこそが現代を生きる私たちの
生活習慣病を予防することにもつながるのだと思う。

「葬儀」という、失敗が許されない仕事をする私たちも、
プロの仕事人としてお客様を満足させるために、
一人の人間として自分に合ったリラックスを見つけることが、
より一層求められる時代ではないだろうか。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2005年07月14日 00:42

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