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2005年10月11日

研修報告 (井手 一男)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

喉がヒリヒリと痛い。(赤く腫れてる)
7日・8日と2日続きのセミナーで、例のごとく喉を痛めたようだ。
喋り過ぎるんだよね、いつものことだけど。

さて今回のセミナーでは初めて【FUNET】を活用してみた。
会場となったレインボー会館には全国各地から受講者が集まってくるが、
すでに講座が始まる前から、その研修空間には、【FUNET】の
[音声ライブラリ]に収録されているEラーニング用の司会音声が・・・。
「ナレーション」や「弔電」を流し続け、それが受講者を迎えるBGM。
始まる前から受講者の耳に刺激を与えていたのだ。
(LAN接続が可能な会場だからできる贅沢です)
20~30作品ほどは流しただろう。(そのためにスピーカーを持参した)
数多くの[お手本]を聞くことで、受講前から良いイメージが出来上がるし、
セミナーにも取り組みやすくなるはずである。
(適度の緊張感も生まれていた)
効果はあった・・・というよりも受講生の司会が激変した。
2日連続で参加された方が2人いたが(ともに女性)、
最初と比べれば、まったく別人のように上達していた。


(正面の講師席には、いつもお世話になっている事務局のK氏です)

ベーシック講座は11名。
今までの最小人数かもしれないが、それだけに1人に掛けられる時間が長く、
細かい点まで指摘することが可能であった。
個々の受講者のキャリアの差がそれほど大きくなかったことも幸いし、
夕方5時までの時間がたっぷりと使えた気がする。
採算的にはどうなのかと思うが、受講者にとっても、また講師にとっても
司会実技のセミナーは少人数の方が充実度は高い。
これは受講後のアンケート結果からも裏付けられていた。

キャリアアップ講座(ナレーション講座)は17名。
そして半数以上の方がベーシック講座受講済みである。
男性は僅か3名、圧倒的に女性の参加が多い。
徹底したナレーション研修であるため、求められる表現力のレベルも高く、
受講者に課す実演の時間も、またその内容も濃い。
午前中は多少戸惑い気味の方もいたようだが、
受講者同士の相互作用もあって、午後には飛躍的に上達し始めた。
やはり基礎をしっかり学んでから受講した方は、司会が安定している。
私だけでなく、受講者同士でもそのことを理解したはずだ。

それにしても最近の若い人は、耳が良くなったのか、耳が鍛えられているのか、
ひと昔前とは比較にならないほど、上達の速度に目覚しいものがある。
そして葬祭ホールで司会をするという環境が自覚を生み、
少しでも上達したいというモチベーションを維持しているようだ。
働く環境の満足度が、そのままやる気にも反映しているのだろう。
今後もこの傾向は変わらないだろうから、前途は洋々ですなあ。

今回は福井県の参加者から面白い話を伺った。
10年ほどの実務キャリアがある彼は、司会のみならず担当者でもある。
その彼が言うには、福井県の通夜は6時30分から開式することが当然だとか。
理由は、5時に仕事が終わると仮定して6時からの通夜では早すぎる、
通夜の始まりに間に合わない人がいるから・・・というのだが。
それにしても・・・終業時刻を5時に設定しているところが福井らしい。
第三次産業が主流となっている都市部では受け入れにくい発想かな。
こんなところにも地方色が出るのが葬儀の面白さだ。

大分と熊本から、また北海道からも、それぞれ単身飛行機で参加された女性。
交通費だけでも大変な額だ。
熱意に頭が下がると同時に、ついこちらも力が入ってしまったかも。
今後に期待したい。

それから千葉県からご参加された女性が、司会のみならず
納棺から担当まで全てこなすスーパーウーマンであった。
これは会社の方針らしいのだが、それでいて司会も上手い。
司会だけを担当する司会者はもっとレベルを上げなければならないと痛感する。
さらにB型肝炎の予防接種もきちんと受けられていて、全く感心である。

私も若い頃、B型肝炎という診断を受けたことがある。
納棺をした際に罹ったと思われるのだが、定かではない。
ただ、自分では「あの納棺かな」と思い当たるフシがあるのだ。
今では笑い話だけど、ひと月ほど微熱が下がらずに病院で検査をした。
結果を聞くときに、主治医が手にした検査結果には、
・・・やけに目立つ、それだけで危険信号のような、赤い文字で何か記入が・・・。
瞬間、物凄い不安が脳裏を駆け巡った。
だって当時エイズが騒がれていた頃だったので、ビビッたのだ。
「先生、何でも正直に伝えてください !」
看護婦(看護師)さんの目が笑っていた。
「もう自然治癒しているみたいですが、B型肝炎に罹っていたみたいですね」
ときたもんだ。
「・・・B型肝炎・・・もう自然治癒している・・・」
思い切りホッとした。
B肝と診断されてホッとする自分が恥ずかしい。
どうか皆さんも予防接種だけはきちんと受けてください。

一風変わった質問としては「0」は何と読むのが正解か、
また「7」はどうなのか、というのがあったが、
「0」を「ぜろ」と読むのは基本的には英語読みである(零と漢字もあるけれど)。
民放は0.1.2.3を「ぜろ・いち・に・さん」と発音するが、
NHKは「れー・いち・に・さん」と読んでいるはずだ。
民放でもNHK出身のアナウンサーで、「0」を「れー」と読む人もいる。
また「7」を「なな」と読むのは、所謂「大和言葉」で、
「ひー・ふー・みー・よー・・」の流れであろう。
「しち」と読むのが正解だ。
ただし葬儀の司会の中では、正しい言葉遣いが、
必ずしも受け入れられるとは限らない。(状況に応じて判断すべし)
例えば「享年75歳」と言えば、間違った言葉遣いであろう。
「享年」という言葉の意味は、すでに年齢をあらわしているからである。
しかし、司会者が故人を「享年75」と紹介した場合、
偉そうに聞こえる、あるいは丁寧さを欠いて聞こえる、可能性も否定できない。
そこで時として、厳密には誤った言い方と知りながらも
「享年75歳」とアナウンスすることもあるだろう。
このあたりは各自で判断していただきたいと思う。

献杯は誰に頼むのが正解か、というご質問もあった。
献杯の目的は儀礼的なものというよりも、これから飲食するにあたって、
故人の事を話題の中心として欲しいとの願いから、
故人の事を良く知る人にお任せした方が良いと思っている。
そして少しでもよいから、エピソードやその人柄について紹介してもらいたい。
続柄や肩書きは二の次という考え方を私はしているのだが・・・。

私の司会講座は、司会実務を葬祭実務の1部門として捉えるので、
技術の研鑽だけでなく、宗教儀礼の話や時には接客の話にまで及ぶことがある。
今回は「気配り」と「心配り」の違いから、人的サービスについて・・・

葬祭業は第三次産業であるサービス業である。
サービス業だから何かサービスをするのだけれども、
サービスには大きく分けて<ハード>と<ソフト>の2面がある。
設備が整った綺麗な葬祭ホールはハード、人的なサービスはソフトだ。
しかしハードはお客様にすぐ飽きられるという性質のものである。
ハード面のサービスは趣向を凝らしていくら充実させても、
何度が体験するうちに感動が薄れるものだ。
しかし人的サービスは飽きられることがない。
それは<心に触れるサービス>だからだ。
心に触れるサービスとは、パーソナルな対応をすることである。
「流れ作業」という言葉があるが、作業になってはいけない。
心や気持ちを込めないサービスには、何の価値もないのである。

研修では多くの資料をお渡ししてある。
別冊の「ナレーション素材集」だけでも100作品ほどである。
1日研修では語りきれない部分のフォローと、今後の活用を考えてのことだ。
単なる資料にとどまらず、受講者が今後の研鑽を怠らないことを祈っている。

<お知らせ>
10月31日・11月1日と一泊二日で追加開催される全農主催の
【中級司会講座】の枠が少し余っているようである。
この講座は、講習時間が10時間以上というかなり内容の濃い
スキルアップ講座である。
司会の基礎から、寺院打ち合わせのコツ・宗派別司会のポイント
様々な式進行例・ナレーション実践用雛形・様々なテクニックなど
司会実務資料としても充分価値があるだろう。
ご興味のある方は、お問い合わせください。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2005年10月11日 18:53

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