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2005年11月09日

ライブコンサート in ホスピス(加藤直美)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

ホスピスでの2回目のコンサートをさせていただいた。
前回のライブが終わったあとに、とても大きな反響があったと、牧師様から聞いた。
部屋から出て来られない患者様が、ベッドの中でじっと聞いてくださったとのこと。
「今度はいつなのか」と多くの方が楽しみにしてくださったとのこと。
私がやりたいことで、これほど喜んでいただけるということ。
私自身の胸が熱くなった。

今回は最初に、私が作った曲から弾いた。
その内にホスピスライブのテーマソングを作ろうと思っている。
そして今回も1時間30分ほど、私がただ思うままに次から次へと曲を弾いていった。
季節の歌からはじめ、映画音楽、加山雄三、サザン、聖子ちゃん・・・。
まもなくお客様も集まりはじめた。

ベッドのまま談話室に来てくださったTさん。
病室でピアノの音が聞こえはじめて、いても立ってもいられずに、
身体を動かしていらしたとのこと。
看護師さんがベッドのままを連れてきてくださった。
酸素の管をつけているので思うようにお話はできないご様子。
でも私が笑顔でお顔を覗いて「こんにちは」と言うと、瞳はしっかりと私を見てくださる。
曲を弾くと身体中で喜んでくださる。
しっかりと今を生きているTさん。
今私もこの音楽を通して確かにその時間を共有している。
今この時、Tさんと一緒に音楽を楽しんでいる。

Tさんは宝塚が大好き。
私は知っている限りのシャンソンを弾いた。
「人の気も知らないで」「ケ・サラ」「枯葉」「サントワマミー」「すみれの花咲く頃」・・・。
時々は私も歌いながら。
聞いてくださっている方も口ずさんでいる。
ボランティアの方がとても上手に歌ってくださった。
思わずみんなでの合唱になった。
うれしそうに聞いてくださるTさんを囲んで、とても和やかな時間だった。
ベッドの傍らではTさんのご主人が付き添って、シャンソンに涙なさっている。
ここは自分の心の思うまま過ごせる場所。
それをすべての人が受け容れて共感してくれる場所。
そのご主人の涙を自然なこととして皆が受け容れている。

音楽を聞くということは時として、聞いた方自身の素直な気持ちが表れてくる。
元気な気持ち、懐かしい気持ち、疲れた気持ち、悲しい気持ち・・・。
それがネガティブな気持ちであっても、それらを正直に表現することが大切である。
そしてそれを特別なものではなく、当たり前のこととして
受け容れてあげる人々がいるということが大切。

ここにはその環境がある。
これは素晴らしいことだ。
悲嘆は、「予期悲嘆」という感情を周りの人々にもたらす。
死への覚悟と共にすでにその悲しみは始まっているのだ。
そしてその過酷な現実の過程をしっかりとサポートする人が必要だ。
私は必要とされるのならば病室のお一人お一人に対応するべく、
ベッドサイドでも歌おうと思っている。
リクエストにもお答えしよう。
アカペラでも歌おう。
その方が確かに生きているという証しを音楽と共に共感したいから。

次は2週間後に伺う。
何を弾こうか、歌おうか。
今、寝ても醒めてもそればかりを考えている。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2005年11月09日 15:44

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