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2005年11月14日

研修報告 (井手 一男)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

1泊2日の中級司会研修会を終えました。
北は青森県から南は宮崎県までの男性13名・女性10名の合計23名。
実務キャリアも未経験者から十数年のベテランまでと様々。
当然キャリアの浅い人達が、研修の足手まといになるかと思いきや、
・・・キャリアの差がそのまま司会の技量差とならないのが、
司会研修の不思議であり、面白くて難しいところなのかもしれません。

 

この主催団体の受講者が司会研修に求めるニーズは、
葬祭ホールが増えたここ数年で大きく変わってきているようだ。
事前アンケートの質問・疑問・要望や受講生との懇親会の中から感じるのは、
ナレーション等の演出的要素の強いアナウンス言葉の習得に興味が集中し、
その理由は結局、日常の業務で必要とされているからだ。
一般に受講する側は、自分の目先の課題をクリアしたくて参加する方が多い。
だから逆に見れば、現在葬祭ホールで司会を担当する者にとって、
ナレーションは避けて通れない課題となっているのが、悩みの種ということか。

司会者の演出とは決してナレーションだけではないのだが、
これを理解してもらうには、研修に参加して実体験してもらうしかない。
(言葉だけ、理屈だけではどうしても理解不能のようである)
ごくシンプルな同じアナウンス言葉を使っても、(同じアナウンス言葉でも)
演出次第でまったく違うニュアンスを、いとも簡単に引き出すことが出来る。
<イメージの伝達>とはどういうものなのかという事を知っていただくために
演出表現の理論・実践の両面から学んでいただくのが先決である。
この根幹が理解できれば、ナレーションだけの勉強をしに来たつもりでも、
実は通常の進行アナウンスや弔電やその他諸々の司会業務に役立つのだ。
人に何かを伝える、表現するということのコツが掴めるのだ。
(ただし、マイクを握って実際に体験してもらわないといけないのだが)

 

今回も【FUNET】の音声ライブラリを聴きまくってもらった。
理論を学びながら同時に体感する。
休む暇を与えたくないし、聴覚情報を取得する耳から脳に刺激を与え続けたい。
微妙な音の流れの変化や高低・強弱に対して感じ取る能力の開発である。
2日間徹底的に聴かせたので、受講者のほぼ全員が<聴く耳>に関しては
成長という進化をしたようだ。(これが演出に繋がります)
これからは日常生活の中でも、例えばテレビを観たり、映画を観たり、
ラジオを聴いたりしていても、今までとは変わっていくはずである。
今後はテキストに大量掲載したナレーションやアナウンス言葉等の雛形を
徹底的にマスターして、上手に活用していただきたいと思う。

 

さて、今回の男性陣はとにかく元気がよかった。(滅多にないことです)
元気だけでなく、司会癖も極端に少なかった。
一般に男性は型に嵌りやすく、一度身に付いた悪癖を削ぎ落とすのに苦労する。
その点、癖がない状態で参加されるとメキメキと上達するのだ。
さらに耳も良い人だと、少しヒントを与えるだけで聞く力が備わってくる。
この辺りの個人差は致し方ないことであろう。

会食後の宿泊棟では、またまた懇親会の続きである。
忌憚のない意見や・・・忌憚なさ過ぎだったけど・・・質問を受けて、
こちらも大いに勉強させていただいた。
千葉県の東側、茨城県との境目に近い地域を、私は<チギラギ>と呼びますが、
(因みに茨城はイバラキと濁りませんがチバラギは濁ったほうが分かり易い)
その辺りから参加された数名の男性の方のお話が面白かった。
私が高知県某所に伺った際に、死華花(四化華など)を祭壇に一対ではなく
一基しか置かないと聞いて、冗談で「ケチですなあ」と言ったら、
何とチバラギの一部の地域では、そもそも死華花(四化華など)なる物を
持っていませんから、つまり祭壇に飾りようがないと言われ絶句しました。
それどころか、地域の僧侶から「これが本物の死華花だ」と何やらインド土産
を頂いたというお話にいたっては、笑い転げるしかありませんでした。
(坊主も坊主ですよね)
更には出棺の時に、通常は故人が使われていた茶碗などを玄関先で割るのですが、
ここでは葬儀社が茶碗を綺麗に洗ってご遺族の方にお返しするとか・・・。
(ほんまかいな ! )
チバラギ・・・恐るべし !

風習で興味深かったのが、葬儀の時に身内だけ<四つ椀>を回すというやつで、
四つ椀の中味は、ご飯・味噌汁・おかず・酒だったと聞いたような・・・
(記憶違いだったらごめんなさい、少し酔ってたものですから)
もちろん本当に食するのではなく、食べる真似だけなのですが、
(故人が遺された者へ布施という功徳を積むことになるのでしょうかね)
これを葬儀の焼香の前にやるらしいのです。
地域の婦人部のお手伝いの方が、一人一人にお酒は注ぐらしいのですが、
緊張したのか、三々九度のような注ぎ方をして???だったこともあるとか。
笑うに笑えないようなお話のオンパレードでした。

<四つ椀とは>
一般に四つ椀とは、懐石用の飯椀・汁椀・煮物椀・小吸物椀、
または飯椀・汁椀の身とふたの総称。
会席で、飯椀・汁椀の蓋(ふた)と身を合わせていう称。
また、茶の湯では飯椀・汁椀・煮物椀・箸(はし)洗い(小吸物)の四つをいう。
(私も良く分からないので調べましたら、上記のようなことらしいです)

他にも絶句・爆笑もののエピソードには事欠かないメンバーでしたが、
ここでは紹介できないのが残念です。

 

また今回に限らず、葬祭の現場を担当する方の共通の悩みは、
不規則で過酷な労務管理に対する不満と、衛生、予防接種の問題(特にB肝)。
何とかならないのかなあと毎回心を痛めます。
ただ綺麗な葬祭ホールを建設するだけでなく、働く環境の整備・充実が
結局は若くて優秀な人材の確保に繋がりますのでね。
「井手さん、エッセイで上の人にガンガン言ってやってくださいよっ !」
としつこく頼まれたものですから、書きました。(宜しくお願いします)

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2005年11月14日 13:37

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