« 命日だ、お勤めしなきゃ (井手 一男) |
メイン
| 長寿だけど、人口が減りました・・・そして (井手 一男) »
2006年01月17日
私の両親は元気で、父は傘寿、母は来年喜寿を迎える。 その母は、数年前から自分と夫の葬儀にとても興味を持ち、 ことあるごとに私に「葬儀の生前相談をしてみたい」と言っている。 私はこういう仕事をしているが、親の葬儀を考えるなんてさすがに嫌なので 「その内ね」とはぐらかしていた。 しかし先日、実家から徒歩10分程度の場所に新しい葬祭ホールが建った。 まだオープンはしていない様子だ。 母は、散歩の度にそのホールの周りをぐるぐる回りながら、偵察しているらしい・・・。 「何だか変わった建物だよ」 「外国にある普通の家みたいだよ」 「屋根が目立つ色でねえ」・・・と見たことをその度に電話してくる。
そこで、今回初めて母と向き合い、もし万が一の時には、 どういう葬儀がしたいのかをじっくりと聞いてみることにした。 以下はその時の内容だ。
私「どんなお葬式にしたいと思っているの? 例えばお父さんのお葬式ということにしてみようか」 母「誰も呼ばないお葬式」 私「誰もって、親戚も?」 母「ううん・・・。それは無理?」 私「そうね。親戚くらいは呼ばないと・・・。 兄貴家族と私たち家族とお母さんだけだよ。 さすがにおばちゃんたちが怒るんじゃない?」 母「そう、じゃ、親戚と家族だけ」 私「お父さんの詩吟の友達や、NTTの関係はいいの?甥っ子や姪っ子は?」 母「お葬式で、詩吟なんか唸られたら嫌だから呼ばない。 仕事(NTT)関係は、もう結構年寄りばかりだから・・・。 甥っ子、姪っ子は近くに住んでいる人だけで、決まり!」 私「お母さんとしての希望は、家族だけで静かに送りたいということでいいの?」 母「そう」 すでに母は、葬儀をシミュレーションして、色々なことを考えていたようだ。
私「親戚と家族で、30人位になるね」 母「そんなに居るの?」 私「お坊さんはどうするの?」 母「いらない」 私「いらないの・・・。そうね、二人共盛岡のお墓に入るんだものね。 菩提寺も無いし。お経はあげてもらわなくていいの?」 母「いらないねえ・・・」 私「あ、そう。じゃあ、私が得意な無宗教葬だわね」 母「でも、直美は司会なんかしている場合じゃないよ」 私「分かっている」 母「私の時もお父さんの時も、同じでいいからね!」 と実にサバサバしている。
私「このあたりは(地元)、お葬式に近所の人が、色々と采配振るうんじゃない? それはいいの?どうするの?」 母「私、あれが大っ嫌いなのよ。ナンで、関係ない隣近所に、お坊さんの手配や、 お金のことや、個人的なことをやられなくちゃならないのかが、 私には理解できないのよ」 私「そうなの?」 母「うん。最近は近所でお葬式が無いけれど、確か6年前の時にはそうだった。 Tさんのご主人の時。お坊さんはあそこにするだとか、料理はこれにするとか、 近所の人が全部やっているのを見たの。もっと安いのでいいなんてこと、 家の人は絶対に言えない雰囲気なの。お金出すのはこっちでしょ? 葬儀屋さんとグルかもねって、隣の奥さんと言ってたのよ」 私「それは違うと思うけど・・・」 と、私はそれ以上何も言えなかった。
母は、地元の互助会に3口を会員として積み立ててあるそうだ。でも、 母「これだけ(3口)では、お葬式は出来ないって言われるんでしょう?きっと」 私「それは聞いてみないと分からないけれど、一人分なら大丈夫じゃないかな?」 母「変だよね。このコースとかの中に、いらない物もあるんでしょう? もったいないね」 私「・・・・・・・」 私は、父達の葬儀について、ここまで細かく母と話したのは、初めてだった。 この母に、 <お葬式というものは、葬儀社主導で行なわれて多くの余計なお金がかかるもの!> という印象を刷り込んだのは、いったい誰なのだろう。 半ばあきらめのように、葬儀のことを話す・・・この原因は何だろう・・・。 私は、母がかわいそうになってしまった。
母は、40年近く前の姑の葬儀の時に、 親戚達から、嫁としてのあることないことの嫌味を言われて、 お清めの席で貧血起こしてぶっ倒れたことを私は覚えている。 (今となったら笑えない笑い話ではあるが・・・) 身内の葬儀に対しての相当なトラウマがあるのだ。 ましてや自分や連れ合いの葬儀で 「後から後悔することだけは絶対にしたくないと」言い張っている。 言い出したら頑固なのは、私に似ている(逆かあ・・・) いや、それだけ想いが強いのだ。
地元で、葬儀の一切は、近所の人が仕切るというが、それは誰の指示なのだろう・・・。 どの程度を仕切って、喪家はどの程度、口が出せるのだろうか・・・。 なにせ、同じ住宅内ではこの数年葬儀が無いので、母にも検討がつかないという。
一昨年に、叔母が亡くなったとき、地元の互助会に私が生前相談に出かけたが、 その時の担当者は、私が東京から来たと言うと、私に向かって 「普通、この辺では会葬者の受付は、身内はやりません」 「お手伝いの方を○人位出してもらいます」と、当たり前のように断言した。 そして、お手伝いの人のお弁当やお茶菓子の準備、心付などの説明をした。 「身内だけの少人数で葬儀をしたいのですが・・・」と私が言うと、それに対して、 「あまりこの辺では聞いたことがありませんねえ」と言った。 「この辺で、聞いたことがあってもなくても、こっちがそうしたいと言っているのだ から、させてくださいよ!!」とまでは言わなかったが、 似たようなことを、気を遣いながら告げた記憶がある。 結局その葬儀社で、叔母の葬儀はしなかった。
さて、母がイメージしている葬儀を 地元の葬儀社がどれ位受け入れてくれるだろうか・・・。 当然私は、この母のイメージを実現させるために頑張るつもりである。 これは、母の正直な気持ちであり 「こういう葬儀にしたい」という遺族の強い希望である。 たまたま私の母であるということだけで、これは正真正銘「お客様の声」である。 老いた母の、たっての希望を叶えてくれない葬儀社に、 父の葬儀を頼むことは出来ないだろう。 私は、「今度、実際に相談に行ってみようね」と言って、母との話を終えた。
今、お客様たちは、世の中に葬儀についての情報が増えれば増えるほど、 逆に葬儀に対する多くの疑問や不安を抱えはじめている。 そしてそのひとつひとつに真摯に耳を傾けることが出来る葬儀社。 葬儀スタッフ。 そういう場所が求められているではないだろうか。
<井手の割り込み> 生前に、ご両親と葬儀について語れるということは、とても幸せなことでしょう。 人生の最期を締めくくるセレモニーが、何の準備も無く突然に、 そして主役の意思をも無視されて、慣習で進められてきた事が寧ろ不自然です。 ですが、いざ自分の葬儀となると・・・ なかなか具体的なイメージが湧かないという声があるのも事実。 そして、悪い葬儀社に騙されるのではと疑心暗鬼になっている方が多いのも事実。 残念なことです。 業界は、もっともっとオープンに堂々と情報を提供しましょう。
ところで、最近は葬祭業者もブログで情報のやりとりをしている所が増えました。 私も時々覗かせていただいております。 その中で、葬儀司会の方から質問があり、誰かが答えるというものがありました。 でしゃばって書き込みしようかなと思うことがしばしばなんですが、 匿名で何か書き込むというのが苦手です。 だって私が思いつくハンドルネームは「ミスターFUNET」とかバレバレ。 それに、売名行為ととられるのも(考え過ぎかもしれませんが)どうかなと・・・。 なかなか踏み出せません。 近いうちに弊社でもそういうコーナーを持つことに今日決めました。(即決) 後は工場長に作らせるだけです。(ご期待ください)
私が見たのは「冠婚葬祭ネット 葬祭関係者の掲示板」というやつです。 弊社の加藤の接遇講座のことが推薦されたことがあって、 (誰かが質問に答える形で紹介してくださったようです) その関係で時々訪問するようになりました。 折角ですから、少し書きましょう。 というのも、弊社のセミナーでの質問も同種のものが多く、 葬儀司会に携わる者にとっての共通点だからね。
日蓮宗のお勤めの最後「奉送」の終わりの「はーいーふー」と聞こえるのは 実際には何と言っているのか。(質問は要約してあります)
奉送(ぶそう)の偈文(げもん)を全て書きますね。憶えると便利ですよ。
唯願諸聖衆 (ゆいがんしょしょうしゅう) 決定証知我 (けつじょうしょうちが) 各到随所安 (かくとうずいしょあん) 後復垂哀赴 (ごぶすいあいふ)
「はーいーふー」ではなくて「あーいーふー」でしたね。 音程は高く、出だしの音はソ(G)かラ(A)の音から始まりますよ(多分) この奉送はお勤めの冒頭の道場偈(道場観)と対になっていると思っていいでしょう。 じゃ、道場偈は?ということになるのでしょうが、弊社のテキストには、 全ての宗派のキッカケとなるお経・偈文が網羅されていますので、 それを持って帰った方が早いということになりますね。 (ほら、やっぱ宣伝になっちゃうでしょう、何かいやらしいよね)
真宗で葬儀式と言わないのはどうしてか? (質問は要約してあります)
真宗でも大谷派の正式な式次第(差上)フォーマットには、 「葬儀式第一」と「葬儀式第二」と明記されています。 だから、言いますね。 本願寺派では、葬儀規範勤式集に「葬儀式」の記述はないはずです。 一般に「葬儀式」とは言わないはずですが、言う僧侶を何人も知っています。 正確には、葬儀式ではなくて葬儀の勤式(ごんしき)なんですね。 (でも略したら葬儀式でしょ)
それから寿算(じゅさん)についても少し説明を。 寿算とは、年齢のことです。 寿という言葉は、梵語のアーユスの訳で意味は命。 命根(みょうこん)と言われるものと同じで、寿命とも言います。 他の説もありますが、この世に生を受けてから死に到るまでの期間。
とりあえず今日はこのへんで。
|
投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2006年01月17日 16:48
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.mcpbb.com/blog/mt-tb-funet.cgi/54
このリストは、次のエントリーを参照しています: 私の母のたっての願い~まだ元気な夫の葬儀プラン~(加藤直美):
» credit score free from credit score free
I'm just having this crazy idea, I'm planning to post comic pages or strips on ... [続きを読む]
トラックバック時刻: 2015年01月10日 01:39
» interracial dating sites from interracial dating sites
Hi. A few days ago I read somewhere that there is a website that has movies/song... [続きを読む]
トラックバック時刻: 2015年01月12日 03:42
» buy St. Louis Rams tickets from buy St. Louis Rams tickets
So I accidentally deleted the joomla folder. But the database its still there un... [続きを読む]
トラックバック時刻: 2015年01月20日 04:38
» buffalo sabres tickets for sale from buffalo sabres tickets for sale
can any post on a personal blog (with disclaimer that it is his personal view) b... [続きを読む]
トラックバック時刻: 2015年01月22日 10:04
» Nike roshe run black JD from Nike roshe run black JD
http://www.lynxinfo.co.uk/Blue/Nike-Air-Max-LeBron-VII.html Nike Air Max LeBron ... [続きを読む]
トラックバック時刻: 2015年01月23日 07:09
» ringling bros b & b circus tickets from ringling bros b & b circus tickets
Does a computer engineer play a important role in designing an aircraft ? [続きを読む]
トラックバック時刻: 2015年01月26日 17:27
» Nike roshe run men for sale from Nike roshe run men for sale
http://www.postmortemequipment.com/ltd/Nike-air-max-rise.html Nike air max rise [続きを読む]
トラックバック時刻: 2015年01月28日 04:38
» aladdin musical from aladdin musical
Where or what would I have to do? And what's the cost?. [続きを読む]
トラックバック時刻: 2015年01月28日 15:04
» Nike air max bag from Nike air max bag
http://www.dancesport.uk.com/stones/air/Nike-roshe-run-all-red.html Nike roshe r... [続きを読む]
トラックバック時刻: 2015年01月31日 20:02
» busana atasan wanita terbaru from busana atasan wanita terbaru
I'll be teaching a creative writing class this summer to a group of 11-14 year-o... [続きを読む]
トラックバック時刻: 2015年01月31日 20:45
» pakaian murah wanita from pakaian murah wanita
I want to do a live webcast, but I can't figure out how to do it on the Blogger ... [続きを読む]
トラックバック時刻: 2015年02月01日 09:43
» hop over to this web-site from hop over to this web-site
Hi guys, How many articles would say it would take to begin with and to grab the... [続きを読む]
トラックバック時刻: 2015年02月05日 08:41
» pop over to this website from pop over to this website
Is there NON-Computer Science MS courses available in USA universities for a stu... [続きを読む]
トラックバック時刻: 2015年02月05日 10:31
» see from see
I made a few songs and I want to know how to alter the copyright content on an M... [続きを読む]
トラックバック時刻: 2015年02月05日 14:25
» tips kesuburan wanita from tips kesuburan wanita
For instance, major music stores like iTunes are not available in Asia and US TV... [続きを読む]
トラックバック時刻: 2015年02月17日 23:20
» my blog from my blog
Amazing web site you've gotten going here [続きを読む]
トラックバック時刻: 2016年11月07日 22:55
|