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2006年02月06日

偲ぶ会(一周忌)を見学して (井手 一男)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

一年前、弊社の橘が司会を担当させていただいたご葬家の偲ぶ会。
今度は石川の出番となった。
通夜・葬儀は無宗教で執り行われたので、(一周忌という表現はおかしい)
「偲ぶ会」という名称で故人を追悼する会である。
場所は所沢の市民ホール…というわけで、ご近所だし見学を。
げぇっ、広い・・・敷地がとても広いのだ。(つまり田舎なのです)
のん気に写真なんぞ撮りながら歩いてたら、建物の中で思いっきり道に迷った。





それぞれに○○ホール等と名称がついた、大・中・小ホールなど色々あって往生した。
建物から別棟へ延々と歩き回ったりして、会場にたどり着くころにはヘトヘト。
催し物も多く、また同時にいくつも開催されているから分かりづらい。
平素馴染んでいる葬祭ホールとは様子が違うし、社葬会場となる市民会館とも違う。
ミューズと呼ばれるだけのことはあって、様々なコンサート主体のホールが林立する。
(中央の写真の建物内に目指す会場がありました)
この日も、バレンタインコンサートへ紛れ込みそうになったぜ。
(チョコレート食ってくればよかった)

実は、一年前の通夜も私は見学している。
その時の充実したメモリアルコーナーもエッセイで紹介した。
ご遺族様とは、一年ぶりの再会である。
では仕事中の石川と、司会席から見た会場。


 


一番驚いたのが、石川の司会が上手くなっていたことだ。
(こんなことで驚くのが情けない・・・いや、申し訳ない)
良い感じで力が抜けて、聞きやすい。(優しくなったようだ)
正直言って、初対面の時はど下手だった。
語尾は延びるし、口跡の切れ味は鈍いし、力むし・・・参ったな。
(それでもブライダルの司会ではベテランの部類に入っていたそうな)
だから葬儀司会デビューも一番最後だったと記憶している。
その名残で、今でもセミナーではアシスタントをしてもらうことが多い。
本人曰く、司会の学校にも通ったらしい。
しかし、エロキューション、プロミネンス、きりきらず・・・
そんな言葉さえ知らないのだから、そもそも技術があるわけがない。
(本人は習ってないと言ってるが)
9年経てば上手くなるもんだなあ、と感慨深い。
いやあ、今年最大のニュースになるかもしれない。
ちなみに、ナレーションの抜粋をすると、
「人生というキャンバスに、思い思いの・・・を描かれ・・・
・・・そして○年○月○日、その筆を置かれました。」
確かFUNETにもあるはずだか、画家に相応しい表現であった。
関谷さんのBGMとのマッチングもGOODで、
やっぱ無宗教にはピッタリの曲調と改めて思う。





祭壇は清楚で上品でシンプル。
白を基調とした花祭壇、円形アーチの中に浮かぶ遺影写真。
個人的意見だが、コテコテしてないのは大好きだ。
そして会場全体が故人の遺品で埋め尽くされている。
まるで、個展のよう。
故人は芸術家だったから、相応しい演出であろう。
それにしても貴重な絵画の運搬には葬儀社の苦労が・・・。
担当者も一番気を使ったらしい。
故人愛用のバイクを搬入してください、と言われた方が楽だわ。


 


メモリアルコーナーの展示品の多さにも圧倒された。
小学生当時の故人の絵日記をスキャナーで読み込み20枚ほどパネル展示。
(戦前のものだからね、いやあ、物持ちの良さにも驚きだ)
更には、中学生・高校生・大学生時代と写真は続き、
家庭を持ち、妻として、また母としての故人のスナップから、
仕事に打ち込んでいる姿や、展覧会での模様やら・・・
よくもこんなに集めたな、というほどの数である。
故人の生涯が見事に浮かび上がってくる。
開式前には、展示品の前で参列者の会話が弾み、皆が懐かしがっていた。
葬儀社としても、これだけの作業は半端ではないだろう。
やはり女性の担当者は、仕事が粘り強く肌理が細かい。
準備に相当な時間を費やしたことは想像に難くない。

そして遺族が作成してきたDVD映像が、ナント45分。(うひゃー)
決してプロレベルではないけれど、とても心がこもっていた。
制作の苦労が分かるだけに、色々と思うこともあるが、
正直長過ぎるのだ。
あれなら、一部、二部に分けた方が良かったかも。
また残念だったのは、会食がスタートするとどうしても散漫になる。
セレモニーを式典部と会食部に分けることが出来ればメリハリがつく。
一番良いのは、式典と式典の間に会食の時間を45分程取ることではないか。

んー、良い勉強をさせてもらった。
今後はこのような・・・つまり、遺族が具体的な希望プランを出して
それをプロデューサーとしての葬儀社がシナリオを描いて実現する・・・
その結果、通り一遍ではないオリジナルな葬送の形が増えるだろう。
間違いなく、近い将来の葬儀の主流だ。

改めて故人の作品を見せていただいて、心を揺さぶられた表現。
「循環する時間」という言い方。
お名前は紹介できないが、原文のまま抜粋させていただきます。
ある個展より。

[タイトル] 小屋
時間があって 時が動く
扉を開けて 中に入る。 中には 何がある?
中には 何が見える? あっ!! これは何のため?
そうなんだ。 変だなあ。 でもいい 気分。
・・・・・・・・・・・・・
う~ん。 もう出よう。
 扉を しめる。 そして次は 何をする?
時間 って流れる水に とても似ている。
流れる水 って大体 海へ行く。
蒸発して 雲になり 雨になる。
でも時間 ってどこへ行くのかなあ?
まさか ぐるぐる循環してる って事ないよねェ。

それって 輪廻 っていうんだよ バカ!!


この偲ぶ会にあたって、生前の故人の活躍ぶりなどを
複数の写真入で紹介した挨拶文をご遺族が用意されていた。(これも凄い)
それによると晩年の故人は、創作活動の意欲が衰えることなく益々盛ん。
しかもその好奇心は多方面へと向いていたらしい。
その一つが、時間というテーマ。
ミヒャエル・エンデの「モモ」に触発されたとのこと。
また、参列者から事前にメッセージをいただき、小冊子に纏めてあったが、
それだって14ページに亘る読み応えのあるものだ。
(これは凄すぎる)
パソコン一つで、何でも実現できる時代を痛感した。


 


故人の時間に対する視線はとても仏教的な感じ。
無宗教で執り行われたセレモーなのにね。
案外こういうものなのかもしれません。
それは遺族も同じで、仏式で執り行う遺族よりも仏教的な感覚だったりして…。
仏式では、四十九日、百か日、一周忌、三回忌・・・
というスケジュールに沿った法要が組まれ、
定期的なグリーフワークとして、遺された遺族の悲しみを癒す目的がある。
しかし、葬儀を無宗教で執り行った遺族が、自分たちでこれだけの準備をして、
偲ぶ会という形で一周忌法要を迎える。
費やした時間が、そのまま心の癒しになっている。
これが本当のグリーフワーク。
故人と、遺族や友人との、強い絆が感じられました。


<井手の割り込み>
私も、時間について。

46億年前、星屑やガスを材料として生まれた地球。
微惑星の衝突を繰り返し、地球の周りは厚いガスで覆われていたという。
地球の表面は完全に溶けて、マグマオーシャンで真っ赤に燃えていた。
やがて厚い水蒸気の雲から想像を絶する雨が降り続け、地球に海が誕生する。
その海から生命が誕生するのは、地球の歴史の10億年後。
しかし、その後の複雑にデザインされた生命系を組織してきた方法は謎のまま。

地球が誕生してから現在までを1年間に例えれば、
元旦の0時に地球誕生。(本当におめでとうございます)
4月8日にやっと生命が誕生します。
(4月8日はお釈迦様の誕生日ですよ)
この時の単細胞生命は、なんとなんと11月1日まで続きます。
(私の誕生日は11月7日・・・関係ありませんでした)
最初の魚類が出現するのが11月26日。(私は魚類以下)
そしてあの恐竜時代が、12月9日から12月26日まで。
(クリスマス過ぎちゃったよ)
ただ最初の猿が12月25日に現れます。
(おっ、キリストの誕生日だ)
私たち人類の登場は、12月31日の、しかも午後8時30分頃。
紅白か、K-1か、プライド男祭りか知らないけれど・・・年越し一歩手前だぜ。

一週間で例えてみると、
日曜日に地球が誕生し、月・火・水・木・金を過ぎて、
七日目の土曜日午後4時過ぎに恐竜の時代が始まる。
その日の午後9時過ぎに恐竜が絶滅し、人類の祖先が誕生するのは、
午後11時58分過ぎで、農耕が始まるのが11時59分58秒だって。
地球の歴史が一週間だとするなら、人類の歴史は2秒。
恐竜の時代が5時間なら、人類の時代はまだ2秒。

人間の歴史は何と短いこと。
その中で・・・1人の生涯はほんの一瞬に過ぎません。
しかし、それがとても愛しいんだよなあ。
命は途方もない時間に育まれ、不思議に満ちています。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2006年02月06日 19:48

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