始めて訪れた私には、ちょっと驚きの、味わい深い雰囲気が漂っていた。
外観、内観ともに・・・和でもなく洋でもない。
そして和洋折衷という表現もピッタリとはこない。
和は、海外から逆輸入された独特の和風のよう。
担当者に伺った話では19世紀のジャパネスクの影響を受けているとか・・・。
洋は、落ち着いたレトロだけど、恐らく明治時代の人が欧米に感じたであろう
当時のレトロを、伝統の傘の下で脈々と現代まで守り続けているようだ。
和洋が不思議にマッチした、エキゾチックな空間に満たされている。
そんなホテルから発信される「偲ぶ会」。
高齢化社会へ突き進み、2007年以降は団塊の世代がこぞって定年を迎える。
そこに拡がるビジネスチャンスを黙って見過ごす手はないし、
これまで培われてきた婚礼や式典のノウハウもある。
看板があるだけに、何よりも顧客が充分に確保されているのが強みだ。
今回の「偲ぶ会」の提案は、ホテルの試みとしては当然の流れであろう。
(薔薇とキャンドルで設えたメモリアル・ステージ)
弊社は6年ほど前から、都内にある同系列のホテルで、
婚礼やお別れ会・偲ぶ会・式典などの司会依頼を受けていた。
そして昨年の6月、Tホテルでの偲ぶ会の司会を石川が担当し、
その時にご提案させていただいた「式次第」や「追悼文」が好評だったので、
今回のお話をいただいたという経緯だ。
(参列者を迎えるメモリアル・メッセージボード)
私は半ば勉強させていただく目的で・・・ついでにFUNETの演出系システム
がホテルとマッチするのではと思いつつ・・・追悼文やパネル等のセッティン
グ役、兼司会者石川のお目付け役として伺った・・・はずだった。
しかし、予想はしていたがホテルマンの持つ葬祭イメージはかなり遅れている。
現在の葬祭トレンドの情報が届かないから仕方ないが、それでもイメージが・・・。
ここ10年間の葬祭業界の激変を知らないのは当然だけどね。
現場で(頼まれてもいないのに)、余りでしゃばるのはどうかと思ったが、
後々参加者に指摘されてからでは担当者が困るだろう・・・と、
予測がつくものに関しては、少し口出しをさせてもらった。
担当の方が柔軟な姿勢の方で幸いしたが、それでもやはり説明するのが難しい。
底辺の認識部分に大きな隔たりがあるので、本当に困った。
単純に否定すると批判に取られかねないので、会話が中途半端に帰結する。
この日を迎えるに当たって、ホテルと契約されている
ブライダル・コーディネーターの方が奮闘しておられたが、
彼女もこれから葬祭を学ぶということだから知識の欠如は否めない。
伝えようとしても上手く伝わらず、もどかしい思いの堂々巡りが辛かった。
しかし彼女も、私が居たせいでやりにくかっただろうと申し訳ない思いもある。
素敵なセンスの持ち主だから、何とか偲ぶ会バージョンを完成させて欲しい。
(テーブルに先付けされた追悼文・・・当日はメモリアルと題された)
差障りのない程度に具体例を挙げると、
主役の遺影写真を飾るのに、バックライトの存在を知らない・・・
ということは10年前の感覚になるだろうか。(驚きだ)
葬儀社で遺影写真のバックライトを知らない人は皆無だろうしね。
また花額や遺影写真コーナーのポイント飾りの情報がないから、
アレンジの発想が湧かない・・・のかも知れない。
こんなことは相談を受けていれば、簡単にクリアーできた。
しかし現場ではもう遅すぎる。(残念だった)
献花の花の向きにしても、スライド上映の機材に関しても・・・。
また本来の弔辞の意義やそのコメントの内容構成の基準、
主賓を選ぶ際の優先順位の捉え方、全国で2通りに別れる上座・下座の基準、
常に主役から軸をぶらさない、トータルプロデュースの考え方etc・・・。
(思い出の写真と言葉で綴る11枚のライフ・レビュー・パネルは圧倒的
・・・写真ではその迫力が伝わらないのが残念)
葬祭に関する知識は当然葬儀社が上・・・これは当たり前。
演出のグレードは、すでに同等、もしかしたらこれも葬祭が上。
(但し、葬儀社にはじっくりと時間が与えられないという不利がある)
サービスレベルは、ITの使い方はと、あれこれ比較をしてもしょうがないか。
ただ、「偲ぶ会」や「お別れの会」ということになると、
顧客の目線で見てホテル側が圧倒的に有利。
やり方次第で充分に勝ち目がある、
というより、向こうは葬儀社をライバル視していないだろう。
本気で取り組めば、ホテルは強い。
(メモリアルコーナー・・・中央のノーパソからはDVD映像も)
今からオリジナルを生み出そうという気概は大いに結構だが、
確たる理論武装という下地がないと、ただの思い付きに終わる。
単なる発想だけで物事を進めては危険だ。
その行為を選択した理由や、ネーミングについても同様である。
祭壇をメモリアル・ステージというのは既に使われているし、
フューネラル・ハウスの存在や、ビューイング葬の見聞もなさそうだ。
ファイナル・セレモニーやラスト・ステージだって同様である。
柔軟な発想と軽さとは根本的に違うものだから、まずは中味の充実が大切。
(キャンドルライト中心の幻想的で荘厳な会場)
<悲しみを癒す>という究極のサービス業の在り方は、
現在のホテルサービスと共通点もあるだろうが、その深さにおいて違うはずだ。
飲食やくつろぎの空間作りから、さらに一歩踏み込んだサービスが欲しい。
窓口になるスタッフには大いに勉強して欲しいと願う。
何事も最初が肝心ということで、
食事を頂きながらの反省会では、喪主と施主の違いや、無宗教とはどう捉える
べきか、音楽や照明と連動した日常と非日常の演出方法の一端や、今後容易に
予測がつく宗教儀礼との調整方法など・・・少しだけ意識改革のためのお話を。
(遠慮しながら喋っている私の隣で石川はランチをパクついていたが・・・)
(奥のステンドグラスが素敵でした)
これから前向きに取り組もうとしてくれている方に、
有意義なセレモニーだからこそ大変な事も多く、
その難しさを理解してもらいたい反面、やる気を削ぎたくない思いも交錯し、
中途半端な解説で終わってしまったかもしれない。
どこまで伝わっただろうかと不安もあるが、
一流ホテルだからこそ恥を掻かせたくはないし、警鐘を鳴らしたつもりである。
弊社のクライアントに対して、きつい事を言いすぎたかもしれない。(反省)
つい夢中になっちゃうのでご勘弁を。
(シンプルで上品)
プレゼンに参加された方々は全て系列ホテルの関係者。
厳しい目線で見られるのは当然のことだが、概ね好評のようだった。
数名の方からパネルのシステムについてご質問を頂いたが、
システムで自動化されている事を伝えると、一様に驚かれていた。
葬儀業界は思ったよりも進んでるなあ・・・とのこと。
追悼文(当日はメモリアルと題した)の文章自動化についても、
DVDのスライド映像の自動化にしても、まったく同様の反応だ。
そしてFUNETの商品が好意的な評価を得られたことが嬉しい。
とりあえずはホッと胸をなでおろし、石川とも良かったねと話しながら帰路に。
(撮られる事を意識して、少し表情を作っている司会者石川)
<宣伝>
追悼文、追悼DVD、11枚のライフ・レビュー・パネル、
メモリアル・メッセージボード、フォト・ボード、プロローグボードと、
今回はFUNETの演出系システムを全て使った。
FUNETにはこれ以外に、ナレーションシステムや司会音声ライブラリや、
司会閲覧資料、接遇ライブラリなど今回未使用のコンテンツも含まれている。
それでも月々3万円で使い放題なのだ。
どう考えたって・・・安いわ。(価格設定間違えたかな)
今回出力したものだけを顧客に販売(請求)したとしても一体いくらだ。
DVD、追悼文(数によるけど)、パネル数種類で15枚ほど・・・
私が担当者だったとしても、10万近くの売り上げになるだろう。
たった1回の偲ぶ会で、軽く一月分がペイして大きな黒字だわ。
では、FUNETに興味のある方はご覧ください。
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