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2006年04月12日

葬送BGM…悲しみの心に寄り添う音楽 (加藤直美)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

葬送BGM第3弾のレコーディングが無事に終わった。
過去にはすでに30曲をレコーディングさせていただいた。
そして今回の10曲を入れると40曲。
お葬式に使う音楽ばかりをこんなに作るとは思っていなかったが。

 

3年前になるだろうか、最初に作った20曲は実に悲しげな曲が多い。
思い返せば、これまでの私の人生の中で、
出会った人との別れをイメージして作った曲が多いからだ。
そして昨年作った10曲は、残された人へのメッセージを思い浮かべて作った。
今その曲を聞けば、やはり涙に暮れる悲しみのご家族を思い浮かべる。

そして今回は、葬送ナレーションBGMというコンセプトで、
ナレーションのバックに流れるに相応しい曲を作ったが、
それらを作りながら、尚且つ私の中にはある風景が常に存在していた。
それは昨年からピアノライヴの演奏で伺っている、ある病院の緩和病棟だ。
「ホスピス」に伺うのは初めてだった。
それまで私の中には、ホスピスとは、
「死を間近にした人や家族が、悲しみに暮れながらその日を待つ」
という暗いイメージがあった。
しかし、半年以上もそこに身を置くと、そのイメージは随分と払拭されている。

 

何と言えばいいのか・・・とにかく「前向き」なのだ。
皆が「生きることに積極的」という気がする。
もちろん「人の死」は悲しい。
そして死に立ち向かう患者様の本心は、到底計り知れない重さがある。
そのご家族も、先が見えない不安を抱えての日々は、
他人には想像しがたいものがあるだろう。
しかしそれだけではない何かが「ホスピス」にはある。

ここでは「人の死」は、ただ暗く悲しいだけのことでは無い。
ここでは「逝く人」をみんなが支え、その方が「生きたこと」を承認し、
残された今を「生きる」ことを精一杯支えている。
「よりよく生きて、よりよく死んで行くための、医学的・心理学的両面の
サポートをする」それが「ホスピス」なのだ。
ここは患者様もご家族も、そして私たちボランティアにとっても、
「生きる場所」以外の何ものでもない。

 

私は、わずかな期間ではあるが、その中に身を置かせて戴き、
多くの患者様やご家族の深い想いや息づかいを、肌や心で感じながら、
その日その時にふさわしい音楽を選び演奏をしてきた。
そして今回のBGMも、その現場の空気をそのまま曲にしたものが多い。
レコーディングをしながら、これまで天国に見送った患者様の面影や、
サポートしてきたご家族の、なぜか「晴れ晴れとした表情」が蘇える。
だから曲想も全体に明るめなものが多い。
人生の最期の時間を、このホスピスで、
たくさんの前向きな言葉や笑顔で過ごした、
多くの患者様に捧げるCDとも言えるだろう。

悲しみを見つめ、時としては一緒に涙を流しながら音楽活動をする中で、
本当に多くのことを教えてもらっている。
悲しみの果てのそれを越した所にある
「人間のたくましさ」「繊細さ」「明るさ」「強さ」「悲しみを乗り越える力」・・・。
私の音楽制作のテーマである「悲しみの心に、そっと寄り添う音楽」が、
ホスピスでの体験からさらに深く掘り下げられ、
今回のBGM音楽となって出来上がった。
発売は、綜合ユニコムさんから6月頃とのこと。
是非、聴いてください!

<井手の割り込み>
近日中にサンプルを数曲用意する予定です。
是非聞いてください。
お楽しみに…。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2006年04月12日 00:00

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