「もっと目線が上向きになるようなフレーズが欲しいんだよ」
「ノスタルジックな感じが不足してるね、考え直して」
「後ろ向きではない、前向きの思い出という感じが出てないなあ」
「悲しくて、それでいて明るい曲が欲しいんだけど…」
思った事、感じた事を、自分の感性を信じて素直に発言してれば、
たとえそれが無理難題でも、後は加藤が何とかしてくれる…はず。
挙句の果てには譜面もロクに読めないのに、
「譜面どおりに弾いても面白くも何ともないっ!」
…なんて時には怒ってみせたりさ。
なだめたり、すかしたり、そうしながら半年近くを乗り切るのが私の役目。
結局は曲作りの感性なんて、<在るモノ>しか出てこないんだからと割り切り、
上手に引き出してやることが出来たら成功です。(多分)
12時から予約していたスタジオの様子がどうもおかしい。
聞けば14時からの予約になっているとか。
小雨降る中、加藤と二人で唖然。
連絡ミスが生じたようだ。(連絡したのは私でーす)
そこで交渉して13時頃から使わせていただくことになった。
交渉能力も立派なプロデュースの力…などと嘯いてたら、
その前に連絡事項の確認をしっかり…とやりこめられ、
いやいや、慌てず騒がずミスへの対応能力が本当の能力と切り返し…
取り敢えず空いた1時間、加藤と世間話をしながら優雅にお茶タイム。
緊張している奏者の気持ちを解すのも私の仕事だからと、
「今日の俺のエッセイうけた?」とか
「今回は予算がないので、ギャラは少ないよ」とか
「何度もリテイクしてたら張り倒すぞっ」とか
とても本番前の人間に言うようなことじゃない発言を繰り返し、
自分のペースに引き込んで精神状態を無茶苦茶にしてみたら、
あら不思議…うな垂れるように肩の力もすっかり抜けて加藤は絶好調。
プロデューサーは相手が港を出て無事に航海に向かうまでが、
大切な仕事だから、この時点で成功の予感はしていた。(フッフッフッ)
今回、演奏の雰囲気がちょっと変わった。
やはりホスピスの影響が如実に表れるものなのか。
曲調が…優しい、穏やか、悲しいけど前向き、いいねいいね。
全編を通してどれも柔らかい感じにまとまっている。
途中からは工場長もスタジオに来て、邪魔をしながら見学。
最後は曲順を入れ替えたりして、夜の8時過ぎに無事収録終了。
三人で美味しいパスタを食べに行った。
それにしても、コンピータのお陰で編集作業がとても楽。
こんなことが出来たら便利と思うことは、まず何でも可能だ。
オペレーターはいつもお願いしているH氏だが、
もう何度も組んでいるのでお互い作業がやりやすい。
昔だったら、こんな短時間で終わることはまずない。
余裕があるから休憩時間の私はふざけてばかり。
題して
<もしもピアノが弾けなかったなら…>
4日後には、地獄のナレーション収録が待っている。
収録原稿のシナリオ作りに忙しいが、今度は橘が試練を迎えるなあ。
何せトラック数が半端じゃないもの。
まっ、頑張ってもらいましょう。
近々新曲10曲のサンプル試聴を用意しますが、
今日は取り敢えず3曲だけ。
2006年、MCプロデュース監修の加藤の新曲CDをサンプル試聴できます。
試聴されます方は、下ボタンをクリックしてください。
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