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2006年05月09日

葬儀司会を終えて (石川 元)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

開式前ナレーションが終わる。
すると境内の静寂を破り回廊の遥か向こう・・・遠くの方から導師達のお経の声が。
幾重にも重なった荘厳な声は次第に大きくなり、本堂に近づいて来る。
・・・間もなく導師達の姿が見えるかな・・・と思うと、
・・・遠ざかって小さくなっていくお経。
本堂の参列者も息を潜め、儀式空間の緊張度は高まる。

天正19年(1591年)に創建され、
随所に歴史の重みを感じさせてくれるこの寺院は、
非日常の空間を意図的に造り上げているのか・・・?
声は聞こえど、導師や脇僧の姿が見えないところが、実にいいのだ。


お勤めを賜りますご導師は、○○家菩提寺 ○○宗 
本山○○○○○寺 貫首(かんじゅ) ○○○○猊下(げいか)でございます。
※ 猊下(げいか)とは、高僧に対する敬称。
導師・脇僧=計7人。
儀式を始めるに相応しい厳かな雰囲気を創ってくれる長い廊下です。

谷中(やなか)・・・?
東京には谷中という駅はないので、
葬儀の仕事をするまでこの地域の存在を知らなかった。
最寄り駅は、JR山手線・京成電鉄「日暮里」 地下鉄千代田線「千駄木」「根津」。
谷中の東半分は谷中墓地や寛永寺墓地が占め、
その西側一帯は広範囲に寺院が軒を連ね、
その周囲に住宅や商店が密集しています。
未だに建物だけでなく、狭い路地や坂道に古き時代の風情を残し、
情緒あふれる町並みが残っているのです。
谷中霊園も有名ですよね。

畳敷きの広い本堂に7人の僧侶が、祭壇前にU字型に並び、
作法・お経を唱える様は豪華絢爛。
葬祭ホールでは祭壇前、導師が横一列に並ぶことが多い関東地方の葬儀では、
見ることが出来ない作法の数々・・・興味深かった。
それは、独特な儀式空間を醸し出し、故人は居なくなるのではなく、
別の世界に召されるのだ・・・と思ってしまうのは私だけでしょうか?
悲しいとか寂しいという感情を超越した仏教の世界がありますね・・・。
こういう儀式を見ると仏教を見直します。

この寺院は、差定も提示してくれますし、
担当者さんは導師と打ち合わせをしなくても、
入場・弔辞・焼香・退場のタイミングを心得ている。
寺院と葬儀社さんの信頼関係が成り立っているところの司会はとても気が楽です。
ある会社の女社長さんの葬儀でしたが、
7年前には故人のご主人の葬儀を井手社長が司会を担当したとの事。
担当者さんの指示を仰ぎながら慎重に進行していきました。

この担当者さん・音響さん・僧侶はとても仲がよく、
本番以外では、面白い人オーラが出ていて私にとって、とても気の休まる方々です。
でも本番中は、この面白いオーラを皆、消すから不思議ですね。
特に始まる前は、うろうろして冗談を飛ばしていた僧侶が、
袈裟を着てお経を唱え始めると別人どころか、仏界の使者に見えるから摩訶不思議・・・。
一緒に仕事をさせて頂いて、とても楽しい安心して司会の出来る現場です。
やはり・・・信頼関係は不可欠ですね。

この担当者さん=K専務の奥様にお会いできなかったのが、とても残念です。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2006年05月09日 00:04

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