我が家は随分昔から、私がいなくても日常が機能して行くようになっている。
息子たちも夫と同じように、一人で何でも出来るように仕立ててきた。
一応心配する私に、「大丈夫だよ、適当にやるから!」と言ってくれるのが、
一番の愛情と感じる。
家族がありながら、「じゃ、行ってきます!」
と言って身軽に帰郷できる自分をつくづく幸せだと思っている。
向かった先は茨城県常陸太田市。
39年間郵便局に勤務し、60才を前に退職した叔父のささやかなお祝いだった。
常陸太田といえば、あの「水戸黄門」の徳川光圀公が晩年を過ごし、
「大日本史」を編纂したところで有名な西山荘(せいざんそう)がある。
県地域の小学校では、3年生位になると必ず遠足で向かう場所だ。
自然が豊富で、ちょっと散歩をすれば、田んぼや畑、竹林が広がる。
今は田植えの時期。多くの田んぼでは植えたばかりの稲が、風にそよいでいた。
自然の恵みは素晴らしい。そして人間としてその中に身を置くことの大切さを感じる。
空気が美味しい。太陽が暖かい。緑がやさしい。
心の底から、のんびりとした時間が広がる。時が止まったような一瞬・・・。
私は田舎が大好き!
私の父は、9人兄弟。母は、6人兄弟。
それぞれに連れ合いがいて子供、孫に至ると、もう何人だか分からない。
私の従兄妹たちもほとんどが結婚したので、
その家族まで、すべてを把握することはちょっと難しい。
大体が水戸周辺から県北、福島あたりに住む。
両親は長男、長女なので、その一番年下の兄弟は、私と一回りほどしか変わらない。
久し振りに顔を見て話をすると、私が子供だった頃は、
叔父さん叔母さんと呼んでいた人たちが、まるで兄姉のような感覚でそこにいる。
私もオバサンになったということだろうが・・・。
今回は、大人としての深い会話が出来ることに、私は大きな喜びを感じた。
叔父は60才の還暦目前。
誰もがある程度、その生きてきた人生を振り返る時らしい。
そしてその叔父も、
「残りの人生を 本当に自分らしく、家族を大切に生きて行きたい」と言っていた。
「故郷は、遠きにありて、思うもの」と言ったのは石川啄木だ。
遠くにあるけれど、私の心の一番近い所に、その人たちや思い出は存在し続ける。