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2006年05月14日

故郷 (加藤直美)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

兎おいし かの山    小鮒釣りし かの川
夢は今も めぐりて   忘れがたき 故郷
(詩 高野 辰之)

このゴールデンウィークは、親戚の祝事で、家族を置いてひとりで故郷へ帰った。
子供達はそれぞれに用事があり、主人にはせっかくの休みを、
私の親戚の用事で気をつかわせたくなかったからだ。

我が家は随分昔から、私がいなくても日常が機能して行くようになっている。
息子たちも夫と同じように、一人で何でも出来るように仕立ててきた。
一応心配する私に、「大丈夫だよ、適当にやるから!」と言ってくれるのが、
一番の愛情と感じる。
家族がありながら、「じゃ、行ってきます!」
と言って身軽に帰郷できる自分をつくづく幸せだと思っている。

向かった先は茨城県常陸太田市。
39年間郵便局に勤務し、60才を前に退職した叔父のささやかなお祝いだった。
常陸太田といえば、あの「水戸黄門」の徳川光圀公が晩年を過ごし、
「大日本史」を編纂したところで有名な西山荘(せいざんそう)がある。
県地域の小学校では、3年生位になると必ず遠足で向かう場所だ。
自然が豊富で、ちょっと散歩をすれば、田んぼや畑、竹林が広がる。
今は田植えの時期。多くの田んぼでは植えたばかりの稲が、風にそよいでいた。
自然の恵みは素晴らしい。そして人間としてその中に身を置くことの大切さを感じる。
空気が美味しい。太陽が暖かい。緑がやさしい。
心の底から、のんびりとした時間が広がる。時が止まったような一瞬・・・。
私は田舎が大好き!

私の父は、9人兄弟。母は、6人兄弟。
それぞれに連れ合いがいて子供、孫に至ると、もう何人だか分からない。
私の従兄妹たちもほとんどが結婚したので、
その家族まで、すべてを把握することはちょっと難しい。
大体が水戸周辺から県北、福島あたりに住む。
両親は長男、長女なので、その一番年下の兄弟は、私と一回りほどしか変わらない。
久し振りに顔を見て話をすると、私が子供だった頃は、
叔父さん叔母さんと呼んでいた人たちが、まるで兄姉のような感覚でそこにいる。
私もオバサンになったということだろうが・・・。
今回は、大人としての深い会話が出来ることに、私は大きな喜びを感じた。
叔父は60才の還暦目前。
誰もがある程度、その生きてきた人生を振り返る時らしい。
そしてその叔父も、
「残りの人生を 本当に自分らしく、家族を大切に生きて行きたい」と言っていた。

「故郷は、遠きにありて、思うもの」と言ったのは石川啄木だ。
遠くにあるけれど、私の心の一番近い所に、その人たちや思い出は存在し続ける。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2006年05月14日 03:32

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