« フェア2006 FUNETブースより (工場長) | メイン | フューネラルビジネスフェア 後記その2・お楽しみ編 (加藤直美) »

2006年07月03日

K氏に感謝  (井手一男)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

第一回フューネラルビジネスフェアのシンポジウムは10年前、
葬祭業界成長期の真っただ中。
フューネラルビジネス誌0号発刊と歩調をあわせて開催
…と記憶している。
その時私は、来場者として冷やかし半分に講演を聴いていた。

会場には、ともすればヤクザにも思える格好の社長さんたちがウロウロ。
派手でセンスが悪く、ガラの悪い連中の集りだなあ…そんな印象が残った。
今回、そんな人は皆無。
良かったね、葬祭業は<サービス業>だ。


今年私の講座は「葬祭セレモニー司会術」の過去10年のデータを提示して総括。
受講者の男女比、受講動機、質問、疑問、受講後アンケート…。
そこから見えてくる<これからの葬儀司会のあり方>をテーマにした。
年6回程、細々と続けさせてもらっている「葬祭セレモニー司会術」だが、
継続するにはそれなりのパワーが要るものだ。
講師も勉強が必要だし、司会を離れた横軸の厚みがないと深みも出ない。
ましてや大金が手に入るわけでもないので、好きでなければ続けられない。
そして常に鮮度を保つことは意外と難しい。

この間、一貫して事務局を担当されているK氏には感謝申し上げたい。
様々な人とすれ違ったけれど、彼との出会いはエポックだったと思える。
(10年経てば、業界でK氏も有名人になった)
今日はそのK氏にスポットを当てて、ピカッと光ってもらいましょう。

1997年(多分)…消費税が3%から5%に上がったのはこの年だ。
銀座のユニコムさんの近所にある大手葬儀社の親類が経営する寿司屋。
すでに退社されたU氏に連れられてK氏が登場。

若いのか? 年食ってるのか? 年齢不祥なタイプ。
無口で慎重で、しかし大人しいというわけでもない感じ。
遠慮しているのは間違いないけれど、
私との間合いを計っているようにも思えた。

軽く寿司をつまみながら、主にU氏との雑談や打ち合わせが進む。
その傍らに座り、彼は、ほとんど寿司に手をつけなかった。
ただ黙って聴いて、頷くばかりだったような気がする。
タバコも遠慮がちに吸っていた。
(工場長だったら、パカパカ食って、スパスパ吸っていただろう…アハハ)

入社してそんなに年月が経っていたとは思えないから、
彼自身も社内で自らの位置を模索していた時期だったのだろうか。
決して学業成績優秀者には思えなかったが、(失礼)
ある程度の挫折を経験し、多少のコンプレックスは抱えているタイプ。
だから、仕事の粘りはあるだろうな…そういう印象が残った。

でも、この人が私の司会講座の事務局を担当するのか…。
まだ新人だし、葬儀のことは分かるはずもないし、余り期待は出来ないな。
どうせ期待できないなら、若くて綺麗なお姉ちゃんの方がよっぽどいいや…。

後半の部分は別としても、おおよその感想はこんなものだったと思う。
つまり「他に人材いないのかよっ」と吼えるほどでもないし、
「この方なら安心して取り組めます」と納得するほどでもなく、
敢えて評価をするなら…4でどうでしょうか。
(あっ、10段階評価ね)

ところが司会講座がスタートし、
やりたい放題の私をいつもカバーしてくれたのがK氏だ。
当時は、いくら説明しても理解できない受講生に、
「下手」「ど下手」と短気を起こし、少しでも上達するまではと粘りに粘った。
怒って途中退席する受講生がいたり、泣き出す人もいたかなあ…。
終了予定時刻は毎回オーバーして、事務局としては大変だったろう。
それでいて呼吸理論や表現理論をすぐに理解したのも彼だ。
…アシスタントの石川よりも早く。
(石川情けないよ)

以来、10年の歳月が流れていった。
私は(恥ずかしい話だが)、テキストは捨ててくるタイプ。
いつでも頭の中に入っているさ…などと強がって、
いざとなったら、あれがない、これがない、と大騒ぎ。
突然アイデアが浮かぶものだから、つい頼ってしまい、それは今でも変わらない。
「○年前の○○講座のテキストデータのあの部分が欲しいんだけど」なんてね。
もうK氏も諦めたことだと思うので、今後もこのスタイルは変えないつもりだ。

また、講座の中では思い付きで話すことが多く、喋っている最中に
…あっ、今とてもいい事を話している…という自覚症状が出る。
しかし、途中で止めたら折角のアドレナリンが消えてしまいそうで、
呼吸をするのももどかしく一気に話してしまうのだ。
そして「今とてもいい事を言ったからメモ取っといてっ!」と。
(受講生は爆笑する…ギャグだと思っているみたいだ)

講座終了後。
K氏「イデさん、事前に考えて来て喋ってるんじゃないんですか?」
私 「大枠ではね、でも喋ってる時に突然閃くことが多いかな」
K氏「凄いですね」
私 「話も違う方向へどんどん行っちゃって」
K氏「ホント凄いですよね」
私 「自分でもそんな所まで行って戻ってこれるかなあ、aikoの歌じゃないんだし」
K氏「あっ、それ何となく、分かります」
私 「aikoはうまいこと戻ってくるよね」
K氏「イデさんもそうですよ、凄いですよ」
私 「俺いい加減な天才だから、あっそれ、誉めてる?」
K氏「もちろんですよ、あははっ」
私 「あははっ」
・・・というような具合である。

こうして考えてみると、私が大人気なくて人間が出来ていないということが、
K氏の成長、とりわけ人間力を鍛えることに大いに役立っているのは間違いない。
ということは、私はK氏に感謝されなければならないだろう。
こうなったら親も同然である。(笑)

♪10年はひと昔…と、井上陽水も歌っていた。
あんなに黒々としてフサフサだったK氏の髪も寂しくなり(結構お世辞)、
私の艶やかな碧の黒髪もクジラ幕のように白黒になった。(結構本音)
この間、司会講座を続けてこられたのも、偏に私の努力と才能の賜物…
ではなく、K氏をはじめ多くの人の協力や援けがあったからこそ。

K氏の「K」は、K-1の「K」のように頭文字。
「感謝」「協力」「共感」「後援」…そう思ってもいいだろう。
感謝は忘れずに、今後も頑張りたい。


<おまけ>
昨日から娘の友達が、とっても田舎の飯能の山奥から泊まりに来ていて、
今日は彼女を送りがてらホタルを観に行ってきました。(毎年恒例)
いやあ、心が洗われる気分でした。

ところで、その高校生の友達と中3の娘のツーショット。
ギャルサーです。(私は飯能メイクと狭山メイクと笑ってますが)

こういう連中と会話が成り立たないと若さが保てません。
私の「ワ・カ・サ・ノ・ヒ・ケ・ツ」です。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2006年07月03日 00:00

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.mcpbb.com/blog/mt-tb-funet.cgi/356

(C)MCプロデュース 2004-2013 All Rights Reserved.