2級の実技筆記に、
「知人のお母さんが亡くなり、葬式は済まされたとありました。
いずれ線香をあげに思いますが、遠方なため、
香典だけを先に送ってもいいでしょうか。」
という問題がありました。
葬祭ディレクターの難しいところは、こういった問題に対して、
「良い」「悪い」だけで回答できないところですね。
適切なアドヴァイスをしなければならない。
その点がポイントでしょう。
それで解答を見てみると…
「既にお葬式を済まされたということですので、
相互扶助的な意味合いは薄く、お香典だけを先に送るというのは
お気持ちは解りますが、何か味気無い気も致します。
お線香をあげに伺う際がベターでしょうけれども、
どうしてもということでしたら、
お悔やみのお手紙を添える等の何か心配りがあった方が、
お客様のお気持ちがより先方に伝わるのではないでしょうか。」
適切なアドヴァイスだと思います。納得。
弔意を表すのに香典だけでは上手に表現されない可能性があるので、
手紙などを添えた方が良いのでは?、ということですね。
ちなみに、そもそも「香典」とは何か?と、
前置きとして言及している文章があるのですが、
そこが工場長的に「へぇ」でした。
下記に記します。
「香典の本来の意味は『香を供える』でしたが、
転じて香を買う代金になりました。
ですから、香典は弔意の表明とも言えます。
しかし、お葬式は何かにつけ出費が多く、多額の経済的負担を伴いますので、
現在では相互扶助的な意味合いが強くなっております。」
私は、この業界に関わる前は、
香典の意味も全く分かっていませんでした。
ただ、葬儀で必ず授受されるものだったので、
不思議に思っていました。
(それに対する香典返しもあるので、子供の頃は本当に不思議でした。
なんで、ああいう金銭の授受があるのだろうと。)
後に、「相互扶助」という言葉を知り、
「なるほど、そういう意味があるのか」と思いました。
ただ、それは本来の意味ではなくて、
香を供えるための代金…ということから派生したのですね。
昔は、ドライアイスなんてものは無い。
夏の季節だと、ご遺体の痛みも進みが速く、特有の臭いも発生しやすい。
それを紛らわせるために、当時は高価な香が必要だった。
それゆえ人が亡くなった時には、人々で香を持ち寄ったそうです。
(この時代から、相互扶助の精神があったんですね。)
その後、ドライアイスが生まれて遺体維持技術が発達したことで、
香りの必要性は特に無くなった。
しかし、「香典」の習慣とその精神はそのまま残り、
葬儀費用への扶助、弔意の表明という意味合いを持っている。
へぇ~、ですね。
へぇ、と言うよりむしろ、会葬者は知っておいた方が良い言葉の意味の一つでしょう。
「香典」。
ただ、言葉が形骸化している(ように思う)現代では、
会葬者や遺族の頭の中にある、香典という言葉の意味の認識の差が、
問題かもしれません。
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