それぞれの方に様々な事情と、その症状がある。
しかしそれぞれの方が、前向きで、心はもしかしたら私たちよりも健康だ。
暗闇の世界という日常が、私には分からない。
皆さんはその中で「日常を生きて」いる。
そこに健聴者が感じるような同情や憐れみは、かえって失礼なことになる。
私が音楽を通して、障害をお持ちの方とご一緒する時は、
極力普通に接するよう努力している。
全3回とも、前半は生活訓練事業といって、
何か勉強になるものをやって欲しいとのことだった。
打ち合わせでは、音楽に関することで、
何か知りたいことや、やってみたいことをお尋ねした。
又、歌詞をどうするのかということについても詳細に打ち合わせた。
1回目の教室では、「音について知りたい」・・・
というリクエストから講義させていただいた。
音には「調」があって、その中にも「短調」と「長調」があり、
又その中での「転調」の話しもした。
ひとつの歌を様々な「調」で弾き、歌い、上に転調するとこうなり、
下に転調するとこうなり・・・ということを音や言葉で説明をした。
皆さんは本当に熱心に聞き入ってくださった。
私が気をつけたことは、はっきりと言葉を届けること。
ゆっくりと伝えること。
活舌よくしゃべること・・・。
司会の勉強と同じだ。
2回目の講義は、「声について知りたい」というリクエストにお答えした。
私が得意な、ボイストレーニングを取り入れた。
声を出すには「身体」を知ること。
身体を楽にすること、呼吸をしっかりとすること、声を前に出そうと努めることなど。
実際に、呼吸法をしたり、身体をほぐしたり、実践していただいた。
その中で、身体が硬い方が多いような気がした。
気持ちを張っているというのか、やはり緊張した中での生活が多いというように感じた。
肩を揺らしたり、息を吐いたり、歌う前にたっぷりとトレーニングさせていただいた。
そして後半は、1回目も2回目も1時間あまりをたっぷりと歌う時間にあてた。
前もっての準備で、15曲あまりの歌いたい歌をピックアップしてあった。
いい日旅立ち、岬めぐり、ビリーブ、風、浜辺の唄、浜千鳥、夕焼け小焼け、
みかんの花咲く丘、グループサウンズメドレー、ヒットパレード、涙そうそう、
三百六十五歩のマーチ、小さな世界、真夜中のギター、川の流れのように等である。
これを当日には、メンバーの方が歌詞集に作ってくださった。
弱視の方用に大き目の文字で作る歌詞集と、全盲の方用には、点字の歌詞集だ。
点字で作るキットがあって、それで素早く作るらしい。
バインダーになっていて、立派に出来上がった歌詞集は、これからも使える財産だ。
メンバーさんによっては知らない歌もあるが、
1,2度ピアノを弾いてご指導すると、すぐに覚えてしまうのには驚いた。
聴覚が素晴らしく発達しているのだ。
歌も皆さんが上手である。
そして何よりも、大きな声で精一杯歌う姿がとても印象的だった。
男性と女性が半々なので、歌のキイには気をつかったが、
懐かしい歌を楽しんでくださったようだ。
そして急なリクエストには、「前読み」で」対応した。
歌詞を少し前に読んで、それを聞きながら歌うという方法だ。
最後には、私にソロのリクエストをくださった。
涙そうそう、時代、花、60年代歌謡曲メドレー(恋のバカンス、グンナイベイビー、
白いブランコ、ブルーライトヨコハマ、恋の季節・・・)などを歌わせていただいた。
9月の末にもう一度この教室がある。
今度は、秋らしい歌をプレゼントしようと心から楽しみにしている。
<PR>
2006年、加藤直美が弾き語る、
MCプロデュース監修の葬送BGM「母のうた/希望のうた」、
好評発売中です。
左サイドメニューの「著作物」リンクに、ジャケット写真をアップしています。
また、試聴されます方は、下のボタンをクリックしてください。
(※転用・転載・web配信等は禁止)