そして研修会がはじまった。
まずは気合を入れるための、社長訓示があった。
受講生の気持ちを引き締めるためにも、これは大事な儀式である。
社長のお話を聞くと、その葬儀社様の雰囲気が分かる。
社長から社員に対してどのようなコミュニケーションが投げかけられているのかも分かる。
創業100年の歴史の中で4代目の社長。
その一言一言が元気パワーに溢れている。
大工から箪笥屋さん、そして棺桶を作り始め、現在は葬儀社。
時代と共にサービス業者として業績を伸ばしてきている。
その中で、他者に負けないアテンドの出来るスタッフ教育。
それを目指して、日々研鑽を続けているとのこと。
今回の研修会では「講師からパワーとエネルギーをもらって欲しい」と仰ってくださる。
これは何よりも私がうれしい言葉だった。
私は微力ながらも、葬儀スタッフの方々に生き生きと元気になって欲しい。
世の中の葬儀スタッフ皆が輝いて仕事をする時代が来たら私のお役目も終るだろう。
今回の研修会においても、受講生の顔がキリっと引き締まって行く瞬間を見るのが、
何よりも楽しみであり、オリエンテーションでは私のモチベーションも最高潮に上がった。
研修会のはじめは、葬儀スタッフとしての心構え、
接遇の基本などをじっくりとお話させていただいた。
皆さんが熱心に、素直な態度で聞いてくださってうれしかった。
気がつけば、あっという間の午前中3時間だった。
午後は、4時間を使って接遇ロールプレイング。
20名ほどのスタッフが参加してくださった。
(写真の掲載は了解を得ています)
ロールプレイングは、現場の細かい仕事を私からお尋ねしながら、
スタッフの方に動いていただきながら進めて行く。
実はその時に、現場リーダーの実力が見え隠れする。
また全スタッフが接遇そのものをどういう形で表現しているのかも見えてくる。
葬儀の接遇は、例え接遇マニュアルが存在しなくても、
普段の仕事の中で大体同じようなことがなされていることが多い。
接遇が上手なスタッフをお手本にして周りは覚えて行くものだ。
しかしながらこの時、やっていることが様々、また言うことも様々という場合、
気持ちを近づけ合うことをしない・・・となると、
普段のコミュニケーションがあまり成り立っていないことが分かる。
この日お手伝いしてくださったリーダーの方は、
しっかりとリーダーの仕事をしていらっしゃるとお見受けした。
講師の私と動いてくださるスタッフの言葉の行き違いも、上手に橋渡ししてくれる。
力のあるリーダーの下で仕事を覚えて行く若いスタッフ達は、本当に幸せだと思った。
ここは、式中の焼香などのサポート全てを男性スタッフがするということだ。
今、葬儀は女性スタッフが全面に出てサポートをする傾向にあることを思うと、
男性スタッフは頑張っているなあ・・・というのが素直な感想だ。
しかしどうしても、男性スタッフの動きはカチッとしたものになりがちだ。
花祭壇での女性の葬儀などは、司会もスタッフも女性の方が似合うことが多い。
男性がサポートするか、女性がサポートするかということは、
セレモニーそのものの印象も大きく変わるものだ。
これからの時代、葬儀のカラーやお客様の多様なニーズに対応して行くには、
物腰が柔らかくお客様へのあたりも良い女性スタッフの育成も必要になるだろう。
葬儀社様の考え方や、その地域のやり方にもよるとは思うが・・・。
午後は、午前中にお伝えした10個の接遇場面…「接遇基本」を元にして、
葬儀社様の進行の通りにデモンストレーションして戴いた。
大勢の前で動いたスタッフの方々も、又それを我がことのように、
ドキドキしながら見ていたスタッフの方々も、どんどんいい顔になって行った。
真剣に質問を投げかける方もいて、場面によってはお客様あっての動きや状況なので、
その答えを研修会の時点ですぐに出すことは出来なくても、
「どうしたら、いいのだろう」と悩み考えることが、
必ずお客様のための接遇に近づいて行くと私は確信する。
ここでなら新人スタッフも、いい意味で「愛のムチ」をたくさん受けながら、
きっと大きく育って行くだろうと思った。
この葬儀社様の3年後、5年後・・・さらなる発展を遂げられることだろうと、
私はとても楽しみである。
心地よい疲れと共に、高知竜馬空港から帰路についた。
大変お疲れ様でございました。