手の出し方、顔の表情、お客様へのアプローチなど等・・・。
茶菓の出し方も男性スタッフが上手にデモンストレーションしてくれた。
寺院様の役になったり、喪主様の役になったりと、
全員が、接遇の初級レベルを実践して行った。
接遇スキルの部分はもちろんだが、時にはその受講生の個性に合わせて、
その方の今の視点で、私の思いをお伝えすることもあった。
特に若いスタッフには、今だからこそ言ってあげられる多くのことがある。
先輩としての視点からも、葬儀を仕事とする姿勢などの話にもなって行った。
受講生の中には、すでに何年も他の分野で仕事を成して来た方もいる。
例え人生のベテランであっても、葬儀の世界に入って新人であれば、
それなりのご苦労もあるだろう。
他県の接遇研修会でも中途採用のスタッフは多い。
話の方向によっては、受講生が今抱えている悩みなどを吐露してくれることもある。
この場所で少しでも吐き出すことが、葬儀の新人として、
これから少しでも前へ進めることにつながるのであれば、
私はなるべく聞いて差し上げる努力をする。
そんな時、ひとつだけ必ずお伝えするのは、
「しばらくは、過去を捨てよう」ということだ。
もちろんこれまでの人生で積み重ねてきたことや、
そのキャリアは忘れられるものではなく、その上に立っての今がある。
そしてゆくゆくは、葬儀の世界でもそのキャリアを充分に生かして、
仕事をして行くことは出来る筈だ。
しかし、最初から過去にばかり縛られていては、上手く行かないことが多い。
今までどんな仕事をして、どんな地位にいたかは、
この現場では、はっきり言って関係が無いことだ。
高い理想も大切だし、夢を語ることも必要だが、
現実問題「今、目の前のお客様に対して何ができるか」
「葬儀の進行の中で、充分にそのサポートが出来るか」ということこそが、
葬儀のスタッフには問われるのだ。
そこで何も出来なくて、次は無い。
はじめは、過去にどんなキャリアがあろうと、
がむしゃらに現場仕事をこなして覚えて行くことが求められている。
私はそんな話の最後に「現場仕事は、出来てナンボの世界です」と締めくくる。
40~50歳を過ぎて、葬儀の仕事に入った方には酷な言い方かも知れない。
しかし、葬儀という仕事は口だけ達者でも使い物にならない。
人はいくつになっても、まっさらな自分になろうと思えばなれる。
最初は難しいかも知れないが、それが「一番の近道」だ。
過去に縛られれば縛られるだけ、苦しくなるのはこの自分。
「こんなはずではなかった・・・」という思いは、
中途採用ではなくても、誰でもが感じること。
でもそこを越せるか越せないか・・・。
「今、自分は試されている」と思うことだ。
必ず道は開けて行く。
この場所で頑張れなくて、どこに行ったら頑張れるのだろうか?
「やるしかない!」のだ。・・等と、つまずきながらもここまで歩いて来た、
私の経験をお伝えすることも多い。
この県の葬儀スタッフ教育は、今スタート地点に立っている。
これからも年に1回でも2回でも、継続して行なうことを期待したい。
人を育てるのには時間がかかる。
しかし早い段階で少しずつでも育てていかないと、
いつまでも全体の底上げは出来ない。
そしてもっとも大切なのが「全体の意識改革」である。
これにも時間がかかる。3年、5年、10年かけて、
やる気のある力、頼もしい人材を育てて行くことが、
もっとも近道であるとも言える。
私も協力を惜しみません。
頑張りましょう!
次回は11月に、ホール接遇のロールプレイング研修会が開催される。
多くの皆さんのご参加をお待ちいたしております。
大変お疲れ様でございました。