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2006年12月30日

2006年を振り返って・・・(加藤直美)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

今年がまもなく終わろうとしています。
公私共に充実した1年でした。

MCプロデュースに所属して5年が経ち、
私が過去10年間葬祭業に従事しながら、
ひたすら念じイメージしてきたことが達成出来た年でした。
私の10年来の「願」は「葬儀の接遇講師として、
フルスウィングすること」でした。
それを目指して、様々な場所や人間関係の中で、
立場も色々と経験しながら、多くの体験を重ねて来ました。
苦しく辛いことも多い中で、挫折しそうな時もありましたが、
いつも私の夢は変わりませんでした。
「接遇講師としてフルスウィングすること」。
今年は、その「フルスウィング」が叶った年であると感じます。

葬儀社様で時間が取れる「友引」という暦。
1年間のほぼ半数の「友引」で接遇研修会の講師として仕事をさせていただきました。
もちろん過去最高の数です。
とても有難い思いです、と共に身の引き締まる思いでもあります。

接遇研修会は、早く決まる仕事は前年度の暮れにスケジュールが押さえられて、
年が明けるとそれぞれの研修会テーマに見合ったテキスト作りから始まり、
研修会の1ヶ月前には詳細な打ち合わせをはじめて、当日を迎えます。
今年は、その流れに沿って決めたテーマの通りに進む研修会も多かったのですが、
中には実際にふたを開けてみると、それ以外の問題が噴出してくることもありました。
研修会は、葬儀社様にとっては何回も開催できるものでは無いので、
私はなるべくその回の研修の中で対応出来るように努力をします。

研修会の回数が多いということは、多くの様々な問題にもぶつかって、
講師としては大きな経験であり鍛えられた年でもありました。
念願だった「火葬場スタッフ」や「病院スタッフ」の接遇研修も心に深く残っています。
綜合ユニコムさん主催のセミナーでは、
全国からおいでいただいた多くの葬儀スタッフの皆さんと、
葬儀接遇について考えました。
ユニコムさん主催、パシフィコ横浜でのフューネラルフェアも、
とてもエキサイティングで楽しい経験でした。

今年の研修会を通してつくづく感じたことは、同じような内容のテキストを使っても、
葬儀社様によって、その研修内容は様々に変わってくるということです。
葬儀の接遇をテーマにするということは、
普段やっている葬儀全体を見直すことにつながるからでしょう。
接遇研修会は大きく分けると、
「基礎研修会」として、お辞儀やご案内・言葉づかいなどの形を学ぶものと、
「実践研修会」として、葬祭ホールを使ってのロールプレイングに分かれます。
最近では「基礎+実践研修会」も増えてきましたが、特に「実践研修会」は、
その時点での環境や葬儀スタッフの能力に左右されることが多かったと感じます。

一番理想的な研修会だと感じたのは、
日頃からスタッフ達が接遇に対しての問題意識を持ち思考錯誤している葬儀社でした。
自分達のやり方と講師が伝える基本を比べてみる→
講師に質問をしてくる→
共に考える→
その現場で新しく試みる→
受け入れる→
(研修会後)現場で実践してみる→
思考錯誤(講師からのフォロー)→
自社の形を作って行く・・・というパターンです。
この形が本当の接遇研修会だと感じます。
そういう葬儀社のスタッフは、前向き、一生懸命、素直、人の話を聴ける、
行動的な人が多いというのが共通でした。
そしてこういう葬儀社は、現場の責任者がきちんとリーダーシップをとっていて、
スタッフからの信頼関係も厚いことが、私には見えます。
研修会の中での、講師とスタッフ達の些細な気持ちのすれ違いも、
上手に交通整理してくれるリーダーが多かったのも、ひとつの特徴でしょう。

敢えて理想的では無いパターンを挙げれば・・・ごく一部ですが、
スタッフの中に、本音で話し合う環境や、より良く変わって行こう、
という思いが感じられない葬儀社もありました。
普段の葬儀でも、行き当たりばったりのその場しのぎ、自分本意のやり方しか出来ず、
お客様や仲間への思いやりなどカケラも持たないように見えるスタッフもいました。
講師が伝える基本を自分たちのやり方にリンクさせて考える気持ちの余裕が無く、
すぐに「そんなことは、ここではやらない」とか、
やってもみないで「出来ない」と言う。

一番驚いたのは、ことごとく講師へ反発してくるパートさんがいた葬儀社です。
研修会という場所をわきまえずに、そこにいる社員を差し置いて、
(講師にまで反発してくるということは)
普段もこういう態度をとっていると判断できます。
私に反発するだけなら真正面から受け取りましょう。
しかしこれは私達だけの問題では無いのです。
この素直では無い態度、きつい物の言い方のすべてが、
時としてお客様にも向けられているという恐ろしい事実に、
会社側は早く気づくべきです。

又、他に気になったことは、接遇に関する答えをすぐに出したがる人達。
スタッフ同士で話し合って行かないと、実践しながらではないと、
決めていけないことが多いのも接遇の難しさであり、深さではないかと思います。
そういうスタッフ達は、柔軟性に欠ける、向上心が無い、危機感が無い、
研修会に対して疑心暗鬼・・・という人が多いです。
こういう時には、会社や上司との信頼関係の無さも感じてしまいます。
そういうスタッフを持つリーダーは、ご苦労も多いでしょう。

研修会の中で、スタッフ同士の軽い言い合いのようになった時に、
そこにいる、現場リーダーの能力(リーダーシップ)も試されました。
講師の私が結論を出すことばかりではありません。
その状態をリーダーがどうまとめるか、どう方向性をつけて行くか・・・。
それは葬儀の現場で、お客様との間に起こるアクシデントと、
なんら変わりはないと思います。それがそっくり、研修会の中で試されているのです。
後者は、やや極端な書き方をしたかもしれません。
(が、これに近い研修会もありました)

研修会の数だけ、研修の形があるということは確かです。
抱えている問題はすべてが違い、その越し方もすべての葬儀社で違うということです。
ですから、研修会のひとつひとつが、私のとっての実践の場でもありました。
もちろん、力足りなかったこともあります。
講師も、経験させていただきながら、成長しているのだと思っています。
あれやこれやと口で言うことは簡単ですが、本当にその気にさせて、
やる気にさせることは、講師としてのひとつの勝負でもありました。
ですから今年の私の講義は、接遇の形や方法も多くお伝えしましたが、
それと同じ位、スタッフが少しでも元気で頑張れる「ココロ」になってもらえるような
働きかけが多かったような気がします。
正社員でもパートでも派遣社員でも、持つべき「ココロ」は同じです。
我々は「悲しみ」という気持ちを秘めた「お客様」に対して、
精神的にも肉体的にもフルに自分を使って仕事をしています。
ですから、まずは自分が元気なこと。
「カラダ」も「ココロ」も健康で安定していることが、周りの仲間を含めた、
「人」を大切にすることに繋がるのだということも力説した年でした。

講師としてスタッフの皆さんに出来ることなんて、ホンの少しだと思っています。
1日数時間の研修会で、接遇のすべてが上手く行くことなんて絶対にあり得ません。
スタッフの気持ちには、常に瞬間湯沸かし器の、
「口火」のようなものを点けていることが必要だと思っています。
そしてその灯を点火するのは誰でもない、スタッフ自身です。
今年は、そのスタッフ達の心に「接遇の口火」を灯すような気持ちで、
研修会をしてきました。どれぐらいの「口火」が点いたか・・・。
数年後に結果が見えてくるのでしょう。

31回の研修会の半分以上は、泊りがけの出張でした。
そのほとんどが、飛行機や新幹線での遠出です。
少し気持ちの余裕も出てきて、ついでに観光に行ったり、友人と会ったり・・・。
山あいの温泉に入ったことも思い出します。
それは、日常の生活から離れてリラックスする、私のとても貴重な時間でもありました。
留守を守ってくれる、家族に感謝です!

信頼するMCプロデュースの仲間と出会い、多くの方々に支えていただき、
ようやくここまで歩いて来ました。
私の「今年の言葉」をあげるとしたら「感謝」の一言です。
「皆様、今年も大変お世話になりました。どうぞ良いお年をお迎えください!」

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2006年12月30日 00:00

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