« 社葬 in 久留米【全4回】 その1(工場長) | メイン | 社葬 in 久留米 その3(工場長) »

2006年12月15日

社葬 in 久留米 その2(工場長)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

とあるお寺。
社長が会館を出てすぐ、Mさんに車で運んでもらった。
ここに、会社が献上した燈篭が立っているという。
工場長:「すいません。ちょっと図々しくて。」
Mさん:「いえいえ、助かりましたよ。あー工場長がいなかったら、
     DVDは大変なことになっていたと。」
工場長:「家族から頂いた写真は、若干減らしますが、
     問題は無いですか?」
Mさん:「それは大丈夫です。」
ご家族と会社の両方のコミュニケーションのパイプとなっているMさん。
繊細な調整が求められるポジションなだけに、気遣いが多いことだろう。
できるだけ、バランスが取れた、かつ良い映像を作り、社長の納得も得て、
Mさんに安心してもらえるようにしなければならない。
「最後まで粘れよ」と、耳に蛸ができるくらい聞いている、
井手さんの言葉が頭を反芻する。

燈篭の写真を収めながら、DVD映像の素材を集めていく。
次は、会社だ。

会社に到着するや否や、すぐに社長室に呼ばれた。
賞状やトロフィー、社員旅行の時の写真がある。
事前に「例えば、こんなものを」とお願いしていたものだ。

スキャンする時間も無いので、
デジタルカメラに収めて、映像に活用することにする。
性能の良いカメラを持ってきておいてよかった。

それにしても、社長、ちょっと上機嫌だ。
誰もが良い社葬になることを望んでいるが、
葬儀委員長でもある社長が、やはり一番そう望んでいるのかもしれない。
一通り写真を撮ったところで、社長に伝える。
「18時までに叩きを作りますので、お時間があれば確認してください。」

18時。
ようやく修正したDVDが完成。
が、さっきまで式場に居た社長が、帰ったと言う。
Mさんに確認すると、
「映像は、任せるって言われた。明日の10時頃に確認するからって。」
「えっ…(もちろん、工場長の声)」
…まったく。

 

式場では社葬の準備に追われていたが、
私は、別の会館事務所でパネルの作成をしていた。
DVDに関する社長の意図が、「会社のものをより多く」ということであれば、
パネルの内容もそれを反映しなければならない。

そんな訳で、Mさんはまだ式場準備に追われていたので、
新入社員のHさんに送ってもらって、パネルの製作に取り掛かった。
Hさんは私と同じくらいの年齢で(若干先輩ですが)、
入社して一年程度ということらしい。
今では担当も持っているが、社葬は初めてだと言う。
とても物腰が柔らかく、パネルの製作も手伝ってくれるということで、
ご好意に甘えることにした。

そこで、折角だから、
DVDの映像も見てもらって感想をもらうことにした。

工場長:「明日の社葬で流す予定のDVD映像なんですが、
     こうこうこういう理由で社葬向けに作り直したんですよ。さっき。」
Hさん:「そうですか。……うーん。ちょっと言いにくいんですが、
     なんか、家族と会社の写真が入り混じって焦点がぼやけますね。
     それに、時間も長くないですか?」
工場長:「…」
Hさん:「いやぁ、すみません。」
工場長:「実は、私も何か収まりの悪い感じも受けていたんですよね。」

Hさんに率直に言われて、
なるほど、自分で意識しながらも、
会社と家族の写真が入り混じった中途半端な出来になっていたか。
【ハロー効果】ってやつだな。

それで、会社用のパネルを製作する前に、
再度、抜本的に会社を主としたDVD映像を作り変えることにした。
DVDは30分程度で作成できた。
私の中でも、Hさんに指摘を受けて完成図が見えたのだろう。

そして、もう一度Hさんに見てもらう。
Hさん:「こっちの方が(断然)良いですね。」
工場長:「ありがとうございます。Hさんのおかげですね。
     後でMさんに、両方を見てもらって最終判断をゆだねましょう。」

23時。
必要なパネルも全て完成。
ふー。
Hさん、(新婚なのに)遅くまで手伝ってくれてありがとう!

そして、私とMさんは本日最後のお仕事。
式場に戻ってDVDの映像チェック。
家族と会社の写真が半々なもの、そして、ほぼ会社の写真のもの、
どっちを選ぶか。

Mさん:「後で見たほう(ほぼ会社の写真)で行きましょう。」
工場長:「わかりました。」
Mさん:「ただ、ご家族の写真を1枚、入れてもらっていいですか?」
工場長:「問題ないと思います。ご家族の支えがあってこそ、
     会社の繁栄もあったと思いますので、
     そういう意図で、締まる箇所に入れましょう。」

工場長の仕事は、どうやら、もう少しありそうだ。
明日の社長の確認まで、私自身も満足できそうなものができる。

<井手の割り込み>
午前2時。
人がせっかく寝酒を飲んで楽しく過ごしているのに、
「今ホテルへ戻りました」と工場長からのメールが。
11時頃にも電話でコンタクトを取っていたけれど、
さぞ遅くまで仕事をしていた…と言わんばかりである。
私は、こんなに頑張っているのだと。

要領が悪くて、仕事が遅いだけなのかも?
ダハッ…お疲れさんどした。

(…翌日へつづく)

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2006年12月15日 00:07

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.mcpbb.com/blog/mt-tb-funet.cgi/709

(C)MCプロデュース 2004-2013 All Rights Reserved.