2日間で200名以上の全スタッフに向けて、
1回80分程度の時間内で、講演をして欲しいとのことだった。
病院スタッフは24時間体制で仕事をする。
全員を対象にということは、日中に数時間かけての研修は無理な話で、
仕事が終了した夕方からの開始となる。
5時半に病院の外来診療が終了し、スタッフの方々によって、
リハビリテーション室で、会場作りが始まった。
まだお一人リハビリの患者様がいる横で、
ベッドや器具が片付けられて、講演会会場が作られて行った。
事務の方々や理学療法士の方なども、手際よく準備を進めてくださった。
椅子が100脚以上並べられて、あっという間に会場が出来上がった。
パワーポイントを使っての講演会だったので、そちらの準備も平行して行われた。
私もその間、スライドのチェックや原稿の確認をしながら、
エッセイ用に写真を撮ることも忘れずに行う。
私のレクチャー台とマイクもセッティングされて、定刻6時に講演会は始まった。
80分の講演会は休憩など無いので、始まる前にエッセイ用の写真を撮り、
また講演中は誰かにお願いしたりをしておかないと、後の祭りになる。
最近は、話の進め方や、段取りを組みながら打ち合わせしながら、
自分でエッセイ用に写真を撮れるようになった。
「一人で、何でもやる!」MCプロデュースの社訓である。
講演の内容は、前もってご依頼いただいたものでスライドを作った。
中心になったのは、接遇マナーの基本と、
院内における患者様と病院スタッフのコミュニケーションについてだ。
今や医療者も、サービス業者として生き残りをかけて、
患者様に向けた意識を変えて行くことが必須である。
「やってあげている」という気持ちが微塵にでもあったら、
患者様はそれを五感で感じているはずだ。
私自身が、病院ボランティアとして活動している経験や、
患者側として日々感じていることなどからも具体的な事例をあげながら、
(多少病院側には厳しいことも)
「患者様に喜んでいただく病院になって欲しい」という願いを込めて、
真正面から率直にお話させていただいた。
医療スタッフが接遇マナーを身につけて、患者様に満足していただくために、
何が必要か、何が出来なくてはいけないのか・・・。
短い時間の中での講演会だったので、一方的にお伝えすることのみで終わったが、
あとは、スタッフ自身がどれぐらい自分のこととして、
直接患者様に向けて、マナーを表現するかにかかっている。
講演の中で、他の病院での音楽を通したボランティアのお話しをすると、
講演会後に、小児科の先生が声をかけてくださった。
誰かに音楽の演奏をプレゼントすることと、
マナーを通して相手に気持ちを届けることは、とても似ていると私は前から感じている。
講演会ではしゃべりながら、目の前の方々に私の気持ちを届けている。
これが歌になっても同じこと。
その先生も私にそのようなことをおっしゃってくださった。
そして是非、この病院でも「音楽会」を実現したいと思っているとのこと。
自分ひとりではなかなか出来なくて、誰かの助けが必要だともおっしゃっていた。
もしかしたら来年あたり、その先生のピアノ伴奏で私が歌う日が来るかもしれない。
又、音楽の輪が広がりそうで楽しみである。
医療のプロへの接遇研修会は、私にとっても、マナーの基本に立ち戻って、
今一度、様々な当たり前なことを確認しながら、伝え方なども工夫する良い機会だった。
私自身、内容に磨きをかけて、来年の接遇研修会に備えようと気持ちを新たにした。