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2006年12月07日

著作権フリーについて (井手一男)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

音楽に関する著作権に関して、度々質問をいただくようになった。
日本音楽著作権協会(JASRAC)のことは、
弊社ホームページのMCリンク集からご覧いただきたい。

当然のことながら、一般に市販されているCDやテープを音源とする楽曲は、
購入された個人が聴いて楽しむこと以外、原則として認められていない。
例外は、教育機関での教育目的に利用されるもの等に限られ、
商用・営利目的は違法である。

例えば故人が好きだった音楽について、
その取材過程で知り得た葬儀司会者が購入し、
セレモニーの中で効果的に流すのは、気持ちは分かるが厳密には違法であろう。
しかも、楽曲をカットしたり編集したり…。
小学校の運動会の中では、ピンクレディを流しても構わない場合もあるが(UFO)
葬祭セレモニーでは商用・営利目的に当たるので無理なのだ。
(喩えが悪かった、ピンクレディじゃ…もともと無理っぽい)

面倒臭い話だなーと思われるだろうが、
誠にもってその通りなのだ。
例えば、美空ひばりさんが健在で、自分の歌をステージで歌うとしても、
日本音楽著作権協会(JASRAC)に支払いをし、そこからさらに自分に印税が入る。
理論的には、こういうことになっているようだ。

音楽著作権に関しては、このブログの中でも何度か触れてきた。
それは葬儀業界の中に、著作権について知らない人が多すぎるからだ。
知っていても、敢えて無視している人もいるかもしれない。
・・・それなりの考えがあってのことかもしれない。
しかし相手は著作権法という立派な法律である。(JASRACだけではない)
業界として、違法行為をいつまでも放置するわけにもいかないだろう。

著作権法は、こちらから

音楽著作物には、大きく分けて2種類存在する。
JASRACが管理する楽曲と、そうでない楽曲である。
JASRACが管理する場合は、正規の届出が必要になる。
オリジナル楽曲以外はまず含まれると考えてよいだろう。

実は、葬祭ホールのモニターから流される追悼映像のバックに、
「川の流れのように」や「涙そうそう」や、
アンドレギャニオンの名曲が流れているのを何度も目にしてきた。
著作権者またはその管理人と利用契約を結んでいると信じるしかない。
(結構な金額になるだろうけど)

JASRACが管理していない(登録されていない)楽曲についてはどうか。
これは著作権法という法律が適用される。
(音楽に限らず、人が物を作れば、否応なしに著作権が発生する)
だから、JASRACが管理していない楽曲の場合でも、
著作権を有する者に対して、その利用の承諾が必要になる。
これについては、プロやアマは問われない。

では著作権フリーとは…
私は以前から、少なからずJASRACで管理される楽曲に対して、
取り扱いの窮屈さ、不自由さを感じてきた。
同時に、葬祭業界という無法地帯?にも危惧を感じていた。
これはもう自分でプロデュースして作るしかないと腹をくくった。
そして5年前…
葬送専門BGM楽曲集として40曲(10曲入り4枚組)をリリースする際、
快く協力してくれた綜合ユニコムのF編集長と打ち合わせを重ねた。
以来、弊社で出している、葬送関連のBGM(現在90曲)の楽曲は、
全て著作権フリーという呼び方である。(JASRACの管理下にない)
何故なら、扱い易くするためである。

JASRACの管理下にある一般的な音楽著作物と比較すると、
権利関係の確認(奏者の演奏権も)と契約や利用料の支払いなど、
著作物の利用に関する面倒な手続きを簡略化(省略)できることから、
著作権フリーという扱いにしているのだ。

しかし著作権フリーとは、
決して著作権を放棄しているわけでもなく、
著作権の譲渡を意味しているわけでもない。
よって製作成果物・・・例えばDVD・ビデオ等への複製は禁じている。
このことは、CDのパッケージにも明確に表記してある。
ただ、FUNETで展開する追悼DVD映像に限り、その使用を許可している。
(どちらも弊社が管理するものだ)
FUNET以外の製作成果物で、弊社に無断で楽曲を使用するのは違法である。
FUNET会員の権利を著しく損なうような行為は断じて認められない。
関連業者の皆さんには、充分配慮していただきたい。
また、楽曲の旋律に歌詞をつけて他人の前で歌うことや、
楽曲を採譜して他人に対して演奏することも禁止行為にあたる。

つまり著作権フリー楽曲とは、音源の利用は購入者(契約者)に限られ、
第三者への譲渡・売却・賃与等は出来ない。
購入(契約)によって得られるのは、定められた条件の中で音源を利用する権利である。

<追記>
近年、音楽著作権の管理を独占していたJASRACへの不満等から、
JASRACとの契約をしない有名な著作権者も現れはじめた。
またインターネットでのインタラクティブ配信に限って、
JASRACに委託しない著作権者も存在する。
今後は、著作権の管理について大きな変化が起こるかもしれない。

<追記2>
著作権法の罰則に関して。
詳細は第百十九条以下を参照して頂きたいが、
著作権を侵害した者は、五年以下の懲役もしくは五百万円以下の罰金に処し、
又はこれを併科する、とのこと。
結構、重い罰則だと思う。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2006年12月07日 00:07

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