式場までの道中に、慶応大学病院がありました。
実は、私の父がガンを宣告された病院です。
お見舞いに行った帰りは、
病室の窓から私の姿が見えなくなるまで見送ってくれた父…。
「あの角の部屋だったな」
と、私にとっては今でも涙が溢れそうになる思い出のある病院です。
久しぶりに来ても角部屋に父の姿が見えるのではないか…。
ふと、立ち止まって見入ってしまいました。
不思議ですね。もう25年も前の事なのに。
さて今日の故人は、音楽界、音楽教育界において多大なる功績を残された方。
そして喪主様も同じ業界を歩み、大学教授の方でいらっしゃいます。
お持ちになったBGMはやはりクラッシック。
とても指導力があり、葬儀に関しても知識をお持ちで、
主導権を握りたがるタイプの方です。
進行上問題がなければ、喪主様のお好きなようにしていただければ…。
葬儀担当者はベテランさんで、
喪主様が何を言い出しても出来る限り対応しましょうと、頼もしい。
これも経験による自信でしょうね。
通夜の儀では、会葬者の皆様には導師退場までお勤めをし、
喪主様の挨拶を聞いて頂いて閉式。
その後、全員いっぺんにお清め所にて…と言う喪主様の意向にも、
担当者の方は対応していらっしゃいました。
東京では結構めずらしいパターンだと思うのですが、
お清め所を一瞥した限り、いい雰囲気で故人を偲ぶ場が設けられておりました。
お清め所が広い事が条件になると思いますが、私はこのパターン良いなと思います。
私はちょうど喪主世代で、
年齢的に喪主の友人という立場で葬儀に参列する機会が多くなりました。
しかし流れ解散になりがちな通夜では、
なかなか喪主と話をするチャンスがありません。
今日のような流れの通夜では、
喪主を含めご家族と話をする場が設けられて良かったのではと思います。
喪主様の閉式前の挨拶は、とてもいい内容でした。
(大学教授なので聴かせる話術もお持ちなのでしょう)
「私が話をしますので、司会者さんからのナレーションは要りません」
と言われてしまいましたが、私が故人を紹介するよりよっぽど上手い。
通夜は厳粛なとてもいい雰囲気で大成功だったと思います。
<おまけ>
喪主様は決してワガママな傲慢なタイプではありません。
周りへの気遣いも出来るダンディーなピアニストです。
私も喪主様から指示が出る度に、先生からアドバイスを受けているような感じがして、
何だか妙に学生時代が懐かしくなりました。(喪主様は、誉め上手でもあります)
お寺さんも喪主の指示には、頷くばかり。
「影の担当者=喪主様」と葬儀社の担当者さんと話していました。(恐るべし!)