葬儀全体は、とても統制のとれた、
ゆったりとした葬儀という印象を持ちました。
参列者の焼香案内時に感じた事です。
3名様ずつの焼香がバラける事なく、ゆっくりと進んでいきます。
数少ないスタッフで賄っているのに何故だろう?という疑問を持ちながら、
司会席で焼香を眺めていましたが、どうやらご案内の仕方にあるようです。
式場外の参列者を3名様ずつ式場内にご案内するスタッフが、
少しの間、持ち場を離れていらしたので、
私がお手伝い(代役)を試みたのですが…
参列者の列は、その途端にバラつきだしました。
「少しお待ち下さい」「どうぞお進み下さい」と動作を加えて、
私もスタッフと同じようにご案内しているつもりなのですが、
私がご案内をすると参列者はジリジリと前に前に進みだし、
あっと言う間にバラつきだしたのです。
お客様誘導にも基本動作の他に、コツがあるようですね。
「立ち姿」「誘導の動作」「言葉かけ」に、
スタッフのキャリアによる自信が表れお客様に伝わるのでしょう。
司会は仏式で至ってシンプルなもの。
ナレーション作りの為の取材用紙は空欄が目立ち、
出来れば当日に少し取材をして、
もう少し充実したナレーションをと思ったのですが、
ご主人の喪主様の落胆は計り知れず、声を掛ける雰囲気ではありませんでした。
取り乱すわけでもなく、黙ってただ祭壇を見つめる喪主様が痛々しく、
私のナレーションもきっとお耳には届かなかった事でしょう。
呆然自失…
通夜後も誰も居ない式場内にポツリと1人残り、
いつまでも黙って喪主席で祭壇を見上げる喪主様の頭には、
奥様と過ごした思い出が渦巻いていらしたのでしょう。
私が帰った後もずっと長い時間、そうしていらしたそうです。
そんな状況でも、お式の段取りを決めるために、
話しかけなくてはならない葬儀スタッフは、本当に大変な仕事ですね。
ホールの館長さんが、さりげなく温かい言葉を投げかけているのが、
印象的でした。
こんな時は、やはり女性スタッフの方が適役だと思います。
ホールのスタッフ事務所に「葬儀に慣れて、葬儀に慣れるな!」
というような目標(標語)のようなものが貼られていましたが、
まさしくその通りだと思います。
お客様を大切にする葬儀をとても感じました。