通夜の準備をしながら、手を休めては祭壇を見入っている担当者。
「頭がまわらない…」と目頭を押さえています。
お花屋さんも人材さんも式場を出たり入ったり、時々ぼーっとしている様子。
導師との打ち合わせでも、
葬儀でさえ「焼香は何処からでもいいから、好きなようにやって…」と、
打ち合わせと言うより故人の思い出話が中心で、
友人の一人として現場にいらしているような感じでした。
会場は東京の町内会館。
商店街の並びにあるこじんまりとした多目的ホールが葬儀式場になりました。
遺族親族のみの密葬を予定していたそうですが、あちこちに広まってしまい、
この式場の収容人数を遥かに超える参列者が見込まれています。
(…どうするのでしょう!?)
しかし参列者も葬儀関係者ばかりです。
18:00からスタートした通夜ですが、
15分から40分くらいの間に皆さん分散してご焼香にいらっしゃいました。
参列者が途切れたと思うと、また10人ほど…また5人ほどといった感じです。
商店街の何処かに控え室でもあるのかしら?と思うくらい、
みごとな時間差でご焼香にお越し頂いたお陰で、
式場内の混雑も商店街に長蛇の列を作り迷惑を掛ける事も一切なかったのです。
勝手知ったる強みですね。
会場の事情を踏まえ、皆が協力して下さったのでしょう。
また、通夜や葬儀の前に来て、ご自分で棺の窓を開けて、
「後で焼香に来るからね」と勝手にお別れをしている方…。
「半紙を持ってきたよ」と言って折りたたんで、ご供物を備えている方…。
更には、葬儀のお別れの準備では、
施行側の他に参列者の葬儀関係者が一気に準備に取り掛かり、
あっと言う間にお別れが始まりました。
葬儀を熟知した方々ばかりの参列者ですから、自然に体が動くようです。
並んで頂く案内係も司会もほとんど必要ありません。
私が思い付いた時には、すでに誰かが動いて協力してくれている・・そんな葬儀でした。
あまりお役に立てなくて申し訳ないです。
故人は、バス2台の参列者と共に桐ヶ谷斎場へ出発されました。
故人はこの斎場とも縁が深かった事でしょう。
施行側にとっては本当に辛い仕事になったでしょうが、
仲間に手厚く送られた故人は、本望だったのではないでしょうか。
何だか切ない気持ちで一杯になりました。
故人のご冥福をお祈りいたします。