価値が無いとは、全く思っていません。
むしろ逆で、業界全体で見れば、
「葬祭ディレクター」が果たしている役割は大きいと思っています。
全国のスタッフの葬儀に関する知識が、ある一定水準まで底上げされたのは、
この資格があったからでしょう。
司会・接遇等の技能が、全体的に向上している傾向にあるのも、
この資格にその技量を問う分野があるからだと思います。
また、「葬儀にキチンと向き合って勉強しています」ということを、
消費者にわかりやすく表現しているのも、この資格の役割の一つだと思います。
なので、全国規模で葬儀スタッフの標準化を目指す、
「葬祭ディレクター」という資格の存在自体は、とても価値があると思います。
私も、受験資格があれば、持っておいた方が良いと考えるでしょう。
しかし、私が「ん???」と思うのは、【1級】【2級】という分け方です。
「1」と「2」という数字をつけてしまったことは、安易だったと考えざる得ない。
試験の内容から見れば、【社葬級】【個人葬級】とした方が良かったと思います。
というのも、毎年、受験予定者を拝見する機会があると、
「1級の方が2級より良い」と無意識に考えている人が多いのでは…
と、思ってしまいます。
1級受験予定者には、2級を所持していない飛び級挑戦者も多いのですが、
「現時点では、2級さえ難しいのでは…」と思う人もチラホラと。
これは、1級という名に踊らされているだけで、健全な状況ではないと思います。
あくまで推測ですが、
社葬を施行する葬儀社は、社葬を施行しない葬儀社よりも少ないのではないでしょうか。
また、社葬を施行するといっても、多くて年に1回というのがほとんどでしょう。
葬祭ディレクターの「1級」と「2級」の主な差は、
「社葬」が試験範囲に含まれているか否かだと、私は考えています。
「うちは社葬なんて全く無い」スタッフにとっては、
「1級も2級もほとんど変わらない」と考えるのがあるべき思考ではないでしょうか。
それなのに、社葬も経験していない人が、果敢に飛び級を挑戦してしまう現状は…。
やはり、健全じゃないでしょう。
名称が全ての原因では無いでしょうが、
【社葬級】【個人葬級】とした方が、敢えて飛び級に挑戦する人は減ったと思います。
それに、一般消費者にとっても分かりやすかったでしょう。
現状では、「1級?2級?へぇ~1級の方が偉そうだねぇ~。」
という程度の認識ではないでしょうか。
そこで、私は2級の葬祭ディレクターを資格保有している人(もしくは挑戦者)を、
あえて応援したいと思います。
「うちは社葬が無いから、1級は必要ない」と考えている2級保持者を、
支持したいと思います。
2級の人は、名刺に「2級」と書かない人が多いですが、
あえて書いている人を私は好きになるでしょう。
(1級は書いている人が多いですが。でも、それは普通すぎる。)
葬祭ディレクター2級とは何なのか。
折角2級があるんだから、1級までの腰掛ではなく、
そのポジションを確りと捉えられるような状況にした方が良いですよね。
…もちろん、1級に価値を置いていない訳では全く無いですが、
2級が過小評価されているような雰囲気は、疑問を投げたいと思います。
最後に、葬祭ディレクターで良いと思う点。
受験資格に、2級なら「葬儀施行経験が3年以上」という、
施行経験の制限がついていること。
これが、どんな試験問題より難問というか、良問だと思っています。
継続は力なりというか、経験も何よりの資格1つじゃないでしょうか。