この場所では、多くの患者様とご家族、看護師さんやドクター、
ボランティアスタッフの方々と出会いました。
演奏をする楽譜の数も、リクエストをいただく度にどんどん増えて、
今やその度に家から持って行くことが難しくなり、病院のロッカーに預けてあります。
そして、活動2周年の日は、この病院の新病棟のラウンジでの演奏でした。
以前の古い病棟を壊して、きれいな桜の木を移植して、
新しい病棟がその場所に作られたのです。
病院の診察などはそのまま続けながらの院内での引っ越しや、
工事の関係で通路が迷路のようになったり…工事の日々はそれは大変でした。
コンクリートを壊す大きな音や、
ガガガガガーという建築の音もずいぶんうるさかったですが、
その音にも慣れた頃に、やっと新しい建物が現れました。
新病棟の西側には、大きなガラスの囲まれた明るくきれいな病室がたくさん出来ました。
そこに病棟や手術室、カフェテリア等などが移されました。
ホスピスの病室数も随分増えて、明るい部屋がいっぱい出来ました。
今は、古いホスピス病棟の耐震工事中で、ホスピスは他の病棟に同居しています。
その為に、私の演奏用には、チャペルに置いてあったエレクトーンが、
6階病棟のラウンジに移されました。
いつも弾いているピアノとは違う、私にとってはなつかしいエレクトーンです。
エレクトーンは、7歳の頃にヤマハで習っていました。
オルガン教室からそのまま習っていただけですが、
その頃の楽器に比べると随分変化しました。
その後、大学時代には自分のエレクトーンを持っていました。
エレクトーンの演奏は大好きでした。
でも、久し振りに張り切ったら腰を痛くしました…。
あ~あ、年齢を感じます。
演奏をする6階のラウンジも、こんなに眺めがいいです。
弾きながら、思わず外の景色に見とれます。
新しい病棟は、まるでホテルのような、たたずまいです。
まだ、耐震工事用の建設会社の建物が残されていますが、
そこだけを見ると、まるでホテルのようです。居心地の良い空間が広がります。
又、最上階のカフェテリアは、見晴らしの良い場所になりました。
夜は、新宿の夜景が目の前に広がります。
遠くはサンシャイン60、西は、秩父や奥多摩、丹沢の山々が見渡せます。
夕焼けの時間は、それは素晴らしいパノラマが広がるでしょう。
その内眺めに行きましょうか。
一人の患者様が、エレクトーンの音に導かれるようにいらっしゃいました。
96歳になるとおっしゃっていました。音楽がお好きなようです。
「昭和の古いのを聞かせて欲しい」とおっしゃるので、
古賀メドレーや、唱歌、笠置シズ子、美空ひばり…など、たくさん弾きました。
その方はご存知の曲になると、歌詞がすらすら出てきて本当にお上手です。
声もすごくいい。小学校の校長先生までをなさった方だそうです。
退職なさってから30年以上経つのですね。
こんなにお元気で、楽しくお話もなさっていて、素敵なおじいちゃまです。
最後に、その方が大好きだとおっしゃる「悲しい酒」を一緒に歌いました。
又、お目にかかりたい素敵な方でした。
それからもう一人の患者様には、
約束をしていた「ハワイアン」を弾いて差し上げました。
歌も歌いました。
この楽譜はメドレーになっていて、皆さんがご存知のハワイアンが何曲も出てきます。
ちょっと季節はずれではありましたが、
エレクトーンの音色が、ハワイアンにはピッタリでした。
今月は、仕事の方がとても忙しくて、あと1回伺えるかどうか…という所ですが、
又、あの眺めのいいラウンジでの演奏を私も楽しみにしています。