昔とは、葬儀の司会が随分変わりました。
目の前で、マイクとマイクを通して実感します。
女性が増えて司会の質が変化し、本当に優しくなりました。
ホール葬が当たり前になって、式場外演出も増えました。
日本語を幅広く駆使して、自由な表現も増えました。
何より顧客に求められるものが、大きく変化しています。
故人らしさ、遺族の思い…それらを反映した優しい司会。
それでも受講された皆さんは、基礎練習が圧倒的に不足しています。
そのことを痛感してもらうため、右脳トレーニングに力を入れました。
また司会の準備段階や進行台本の作り方と使い方、施行報告書のサンプル。
アナウンスハンドブックによる、葬儀司会の注意点など。
徐々に、アナウンス、弔電、ナレーションと進行します。
会場後方には、いつものように綜合ユニコム様と共同で提供している、
FUNETの各展示物と休憩時間に自由に使えるパソコン2台。
今回はそれに加えて、エンディング・ノートや本願寺新報など。
短い休憩時間に、皆さん手にとってご覧になっていました。
それにしても、エンディング・ノートを知らない人が多過ぎます。
熊本から連れ立ってこられた3人の女性グループ。
何でも、ブライダルの司会者だそうです。
どなたかの紹介だったらしく、この講座を薦められたとか。
表現力は理解が早く、やっぱりプロの司会者だなあと思いますが、
実務経験がないので物品の名前すら分からず、かなり苦労していました。
例えば、シカ花も分からず、当然曲録も分からず、宗派の名前すら充分でなく、
骨壷にサイズがあることや、骨壷を使用しない地域があることなど…。
「先生、どうしたら良いでしょうか?」
「…まず、見学でも何でも積極的にチャレンジしてください」
(困ったね、本当に)
この写真は、そんな話で盛り上がっているところです。
無事に葬儀司会の道が開けることを祈っています。
昼食後、皆さんからの事前アンケート、質問・疑問に答えていきます。
「一般に良い司会者とは?」のご質問もありました。
あらゆる答えが考えられるでしょうが、【ベーシック講座】ですので、
「基本ができていない司会者は、良い司会者にはなれないだろう」
とりあえずそう答えて、皆さんの基礎トレを促しました。
司会はいずれ個性が出ます。
テクニック的に巧みな司会者が上手いとは限りません。
優しさ、温かさ、その人の生き方…。
しかし基礎は基礎として、しっかり学ばなければなりません。
一つの文章の切り方についても、原則を教えてあります。
原稿の読み方や、ちょっと難しいけど角度の付け方、ボイスチェンジ…。
【ベーシック講座】レベルでも、色々とテクニックがありますよ。
ですからこの講座だけでも、中味は充分だといえるでしょう。
最後の課題発表。
司会未経験の方もいたけど、総じて予想以上。
朝一番の印象が悪いせいかもしれないが、実は一日でメキメキ上達しています。
耳が鍛えられて、初めて上手くなる。
司会は、耳で覚える学問ですからね。
FUNETのEラーニングがとても有効で、弊社ではセミナーでも使っています。
10年前の【ベーシック講座】と比較して、本テキストは増えました。
特にFUNETを始めた頃からは、私自身の為のナレーションではなく、
不特定多数のナレーションと考えることで(特に女性司会者)、
言葉の語彙が増え、可能性が広がったと思います。
逆に言えば、「とても俺には読めないよ、そんなナレーション…」
というのがあって当たり前の世界なんです。
自分で作ったにも関わらず…ですよ。
「エメラルドブルーの空は…」
(お前はショーケンか)
「最後に残った12月のカレンダーは…」
(師匠か)
「心のスクリーンを眺めれば…」
(詩人か)
「落ち葉のグラデーションが…」
(恋する乙女か)
良く聞かれます。
「先生、あのナレーション誰が作ったのですか…先生?」
私はこう答えるようにしています。
「私の中には、井手一男だけでなく…井手一子が住んでいるのです」
(ダハッ)
皆さん、大変お疲れ様でした。
次回は、11月2日【ベーシック講座】
そして11月8日【キャリアアップ(ナレーション活用)講座】です。
お待ちしております。