今月の日経サイエンスによれば、渋滞は車や人だけではなく、
インターネットの通信の世界でも、倉庫での在庫や棚卸の産業の現場、
さらにはストックとフローなどの経済現象でも、
あらゆるところに普遍的に存在するらしく(よく分かります)、
社会問題としての重要性を深めているにもかかわらず、その学問が存在しなかった。
そんな学問に注目した、東京大学の西成活裕先生の事が紹介してあった。
従来の物理学では、ニュートン力学の基本三原則、
「慣性の法則」・「作用反作用の法則」・「運動の法則」が前提だけど、
車の渋滞や人混みでは、これが全く成り立たないのだ。
人混みで相手を避けようとするのは、自分の心理的な意思が強く影響し、
強面の肩で風切るタイプの相手と、優しそうな人では、まるで違ってくる。
つまり、ニュートン力学の基本三原則ではなく、
自分の意思で行動する「自己駆動粒子」の運動を体系化しなければならない。
最近、高速道路での渋滞の原因を突き止めたらしい。
渋滞原因の五割は坂道渋滞で、これが第1位。
坂道で1台が遅くなると後続車が次々にブレーキを踏む。
「坂道だけど、ブレーキは踏まないでください」の看板が出せればいいんだけど。
トンネルの手前のブレーキもそうだ。
後続の車が次々と連鎖反応を起こし、それが渋滞に繋がる。
また一般に、車間距離が40メートル以下になると渋滞が発生する。
ところが人間は、割り込んだり、前に詰めたりして…結果的にそのことが、
全員の損に繋がっているということを、自動車学校で教え込めば良いらしい。
しかし今の時期、全国何処でもUターンラッシュ、渋滞覚悟の決死行であろう。
葬儀に例えるなら、大勢の一般会葬者が一気に焼香所に雪崩れ込む…
こんな光景たまにあるなあ…しかし、その渋滞が全員の貴重な時間を浪費している。
葬儀屋さんなら誰でも知っていることだよね。
渋滞学は、経済・組織・伝染病・流行・噂…とモノの流れに付きまとう。
今後の社会において、非常に役立つ学問だと思った。
「万物は流れ、流れれば必ず滞りが生ず」
奥が…深いねえ。