「イベントやコマーシャルのBGM、そして葬祭ホールのBGMとしても使えるような、
その葬儀社様の雰囲気を伝える楽曲を作って欲しい」とのご依頼でした。
私はこれまでに、MCプロデュースでは音楽家としても、
50曲ほどの葬送BGMの作曲をしてきました。
葬儀の世界に入って10年以上が経ち、又30年近いプロとしての音楽活動の全てが、
私の中に凝縮され熟成されて、その音楽たちは生まれて来ました。
今回のように、葬儀社様1社だけの為に音楽を作ることは初めてですが、
その葬儀社さんとは接遇研修会を通して多くの接点を持っていましたので、
すぐに曲のイメージが湧いてきました。
そして、私はこの曲を「頑張って仕事をするスタッフ達に、
会社全体の方々に、それを聞いたお客様にも、
その心の中に暖かいものが残るような曲にしたい」と思いました。
そして、同時にインストウルメンタルだけではなく、
コマーシャル用の「ジングル」も作らせていただくことになったのです。
「ジングル」とは、テレビやラジオのコマーシャルの最後に、
ちょっとだけ入る、歌のことです。
テレビコマーシャルで、よく耳にするものとしては、
「セブン!イレブン~いい気分♪」や「ビックビックビック・ビックカメラ♪」
古いものですと「小山遊園地~♪」も、ジングルです。
今回作成するジングルは、葬儀社さんバージョンです。
歌詞は、その葬儀社様の名前で、時間はほんの数秒です。
何でもそうですが、長くだらだら・・・というのは、簡単です。
短く数秒で、小節数で言えば1小節程度ということに苦労をしましたが、
私はこのお話を大変有難く思い、心を込めて作らせていただきました。
12月の中旬から作り始めて、イメージ・インストウルメンタルは候補を2曲。
ジングルは3パターンを作りました。
次は、出来上がったものを葬儀社の皆さんに聞いていただき、
1曲ずつに絞っていただく段階まで来ました。
そして、その為のデモンストレーション用CDを作るレコーディングをしました。
レコーディングの場所は、弊社がいつもお世話になっている、
スタジオ「サウンド・ショット」です。
私の葬送BGMのレコーディングも、このスタジオでお世話になっています。
慣れたもので、オペレーターの方やディレクター役の工場長とのコンビもバッチリで、
あっという間にデモCDのレコーディングは完了いたしました。
私がうれしかったことは、インストウルメンタル(楽曲)の出来栄えを、
代表の井手が、殊のほか喜んでくれたことです。
私自身も、数年前に作った「葬送BGM」とは、
曲想が変わって来ていることに気付いていました。
これには、平素からのホスピスでの音楽活動が、大きな経験になっています。
ホスピスの環境は、どちらかといえば、悲しく辛い場所かも知れません。
しかしそこには、ただ悲く辛いだけでは無い「命のパワー」も存在するのです。
そして時として、その「命のパワー」は、とても前向きであり、
強いエネルギーを放つ、人が生きる力でもあります。
その場所で音楽を共有する上では、みんなが平等であり、
同じ生きる人間であると感じます。
時には、患者様からも元気をいただきます。
とてもありがたいことです。
ですから、最近私が作る楽曲の、根底にある「想い」を言葉に代えると、
「命に感謝」「今を生きる」「この人に添う」というようなことになります。
その気持ちで曲を作れば、自然に、落ち着いた静かさの中にも、
明るさや前向きさのある曲調になって行きます。
私は毎回のライブで「音」や「歌」という形に代えて、その気持ちを表現しています。
今後は更に、グリーフや葬送分野での音楽制作活動を深めて行こうと思っています。
さて、この日は私のレコーディングの後に、
橘さんのFUNETナレーションと音声エッセイの収録がありました。
ついでに私も、音声エッセイの録音に付き合うことになりました。
工場長がその場で作ったシナリオを1回だけ読み合わせしました。
あとは野となれ、山となれ・・・ほとんどアドリブの世界です。
「キミちゃん&直ちゃん」(まるで漫才コンビのよう・・・いいのでしょうか?)
のノリで、無事に終了。
音声エッセイの中では、「シンガー・なお~み」という人格ですが、
それが又、楽しかった!ちょっと恥ずかしいですけれど、
そのうち音声エッセイに登場します。
出来上がったデモンストレーション用CDを早速、お客様に送りました。
2月には、本番の編曲、レコーディングへと進みます。
「この葬儀社様の、やさしくて、暖かいイメージを音楽にする」ということは、
私にとって、とても興味深い仕事でした。
目的はひとつ、「ひとりでも多くのお客様の意識をこの葬儀社さんに向かせること!」
これは、私の接遇セミナーでの「教育理念」に通じます。
葬儀社そのものを世の中にアピールすることが、当たり前な時代です。
お客様が「この葬儀社に、お葬式をお願いしたい」と思えるような戦略を
音楽を通してお手伝いできたことが、何よりもうれしい私です。