最近は、地方にも随分とビジネスホテルが建ちました。
それも割安の料金で、快適なビジネスホテルが多いです。
少し前までは、地方の古い旅館のようなビジネスホテルしかなかった地域にも、
このような快適なビジネスホテルが進出して、
お客様がそちらにどっと流れていると言う話を聞きました。
地方には、フロントで「すいませ~ん」と何度も呼ばないと、
スタッフが出て来ない名ばかりのビジネスホテルもあります。
これは、長旅で疲れて辿り着くお客さんにとっては、最も疲れることです。
その点、最近のビジネスホテルはとても快適です。
部屋のレイアウトは、明るく広めに作ってあります。
シングルでもベッドは大きめで、アメニティグッズが充実していて、
きれいに掃除されているところばかりです。
しかし、ホテルの環境がどんなに快適でも、
ちょっとした場面で、がっかりさせられるという体験をしました。
結局最後は、ハードだけではなく「そこにどういう人がいるか」という「人」により、
満足もすれば、がっかりもさせられると言う体験でした。
私が泊まったホテルでの朝の出来事です。
このホテルには、もう何度も泊まらせていただいています。
慣れて楽ですし、清潔で、フロントスタッフも気持ちがよくて、とても快適です。
朝は、部屋を出るとホテル中に焼きたてのパンのにおいがします。
このホテル、朝はナンと無料で、焼きたてのパンとコーヒーがいただけるのです。
私は午前中から研修会の仕事を控えていますので、
朝はしっかりと食べたいので、必ず前日にコンビニでサラダとヨーグルトを買い求めて、
朝にパンとコーヒーと一緒にいただいています。
しかし他のお客さんは、持ち込んでいる方はほとんど見ません。
ですから何となく、私はいつも遠慮がちに食べることになります。
そしてこの朝も、カウンターの端に席をとり、
持って来たサラダと無料のコーヒー、パン2つをもらい食事を始めました。
すぐ後ろには、パンとコーヒーが置いてあるサービスカウンターがあります。
その日は二人の女性スタッフが、そこで仕事をしていました。
7時になるとお客さんが増え始め、私の隣でも、
ビジネスマン達がパンとコーヒーの食事をはじめました。
私の周辺には6~7人のお客さんが立ったまま並んで
(カウンターには椅子はありません)食べていました。
するとその二人の女性スタッフが、話を始めました。
「この間お客さんが、パンを10個以上、持って行こうとしていたよ」
「9時頃にパンが無くなると、焼かないといけないでしょ」
「なんて言えばいいのかなあ・・・」
「フロントは、何て言ったの?」
又、「この間、コンセントが無くなったのよ」
「子どもが遊んでいたからね」
「その子どもじゃないかと、思うよ」
「親は、いたの? 何しているんだろう」
そして・・・「最近、変ったお客さんが多いよ」
「そう、変なお客が多い・・・」
私がそこにいた10分以上、その二人の女性スタッフは、お客さんに対する愚痴を
平然と周りのお客さんに聞こえるような声で喋り続けました。
2mと離れていない場所で、朝食をとっている私たちお客さんは、
背後からその話を延々と聞かされながら食事をしていました。
(他に移動したくても、場所が無いのですもの)
私は、他のお客さんは、どういう思いで食事をしていたのかが知りたかったです。
私自身は、
「コンビニで買って来たサラダとヨーグルトを食べる<変なお客>なんだろうな・・・」
「こうして、お客さんの愚痴を聞かされている私達も、お客さんなんだけど・・・」
などと、考えなくてもいいことを考えながらの朝食でした。
焼きたてのパンも、淹れたてのコーヒーも、まったく美味しくなかったですね。
パンを10個も持って行くお客さんの常識も疑いますが、
ホテル側が、「パンを10個以上食べてはいけません」
というお達しを出していないのならば、
スタッフは気持ちよく「どうぞお召し上がりください」と言うべきですね。
自分たちの仕事が増えるということで、お客様に文句を言うことは慎みましょう。
とにもかくにもスタッフは、私語は慎むことです。
このホテルへの私の良い印象は、大きく崩れました。
それもたった二人のパートスタッフのせいで・・・。
10分程度でしたが、私はこれ以上の愚痴を聞きたくなくて、そこにいたたまれなくて、
この日はコーヒーのお代わりも我慢して部屋に引き上げました。
この日、何人のお客様が、このスタッフ達の愚痴を聞かされながら、
朝食をとったのでしょう・・・。
このホテルが朝食をサービスしている2時間半の中で、この女性スタッフ達が、
そのようなことを喋り続けているとしたら、大きな問題です。
近くにお客様がいる場所での、スタッフの話し声には充分に気をつける必要があります。
これは葬儀の現場においても通じることです。
私たちの何気ない言葉を、必ず誰かが聞いている、
ということを忘れたくないと思いました。