まず、葬儀の印象に関するアンケートを見ていきます。
・葬儀の印象 (複数回答)(第8回「葬儀についてのアンケート調査」より)
1位…形式的になりすぎている(46.1%)
2位…世間体や見栄にこだわりすぎている(34.6%)
3位…適当だと思う(33.1%)
4位…不必要なものが多すぎる(32.8%)
5位…もっと質素にしたほうがよい(29.2%)
アンケートにある選択肢が、ほとんど「否定的な」ものなので、
アンケートの集計の仕方にも問題があるとは思います。
ただ、その中でも際立っているのが【形式的になりすぎている】の46.1%です。
ほぼ半数が、葬儀の一連の形式に改善を求めているようです。
何を指して「形式的になりすぎている」のかはわかりませんが、
推測するに、地域のしきたりや一連の仏式進行、香典・即返しなどの行為が、
形式的すぎると思われているのかもしれません。
一方で、【適当だと思う】が33.1%と健闘していることも見逃せません。
ネガティブな選択肢が多い中で、
現在の葬儀は良い評価を得ているのではないかと思っています。
(葬儀業界も努力していますからね)
次に、望ましい葬儀のかたちについてのアンケートを見ていきます。
・望ましい葬儀のかたち (複数回答)
1位…費用をかけないでほしい(64.1%)
2位…家族だけでおくってほしい(44.0%)
3位…子供や家族、地域など周囲の人がすべて
やってくれると思うので、任せたい(25.0%)
この結果を見ると、
葬儀の小規模化・小空間化を消費者が望んでいることが鮮明だと思います。
つまり、今ニーズが高いと言われている『家族葬』のことでしょうか。
見方を変えると、縁遠い会葬者は葬儀に必要ない…、
そもそもお付き合いが薄いので会葬者は少ないだろう…、
といった傾向を、消費者自身も思っているように思います。
そういえば、2005年の公正取引委員会の
葬儀サービスの取引実態に関する調査報告書の概要からも、
会葬者が減少傾向にあることが読み取れます。
(葬儀社のおよそ7割が『会葬者が減少した』と回答している)
何が原因で、会葬者が減っているのか、
なぜ多くの人が会葬者レスの葬儀(家族葬)を望んでいるのか。
高い『葬儀費用』を抑えるためということが最も推測されますが…、
なかなか統計には出にくいでしょうか。
そのあたりの調査が、今後の葬儀のポイントになる気もします。
最後に、今後の葬儀のあり方について見ていきたいと思います。
・今後の葬儀のあり方 (複数回答)
1位…形式やしきたりにこだわらない自由な葬儀があってよい(62.7%)
2位…人生最後のセレモニーなので、
故人や遺族の意見を反映した葬儀になるとよい(52.3%)
3位…家族だけの葬儀でよい(47.4%)
4位…簡素な葬儀、派手な葬儀などいろいろあってよい(41.6%)
5位…葬儀は順送りなので、残る家族にすべて任せてよい(33.3%)
6位…地域のつながりは大事にすべきなので、
しきたりに従うのがよい(12.1%)
「形式にこだわらない」「故人中心」「家族のみの小規模葬儀」。
前述のアンケート結果とも関連していると思いますが、
上記の3要素は、今の葬儀に対する意識下に強くありそうです。
また、これらの3つの要素は、
今、世間で言われている『家族葬』を構成している要素をかな…とも思います。
一方で、葬儀の印象に関して、
「簡素で故人との別れをつくした気がしない」
という意見があったことも見逃せません。
単純な「小規模化」「無形式化」では、
心の深いところで別れができない人もいることを、
葬儀社は見逃してはいけないと思います。
トレンドは「形式にこだわらない」「家族のみの小規模葬儀」へ向いている気もしますが、
それだけに流されると、同時に不満も多く出ると思います。
難しいバランス感覚だとは思いますが、
両翼を持ちあわていることが、トラブルを起こさないために重要ではないでしょうか。
最後の最後に、当該アンケートは質問内容に対して回答の選択肢が少なく、
結果の数値をそのまま受け取るには不十分な内容だったと思います。
公共的なアンケートとして、もう少し内容を見直してほしい気もします。
(ネガティブな選択肢が多いのは、若干意図的な気もします…)