講師として葬儀の現場に入ってしまうと、
現場スタッフは緊張しますし気持ちも落ち着きません。
ですから、参列者として入ることにしたのです。
まず大変だったのが、私が参列者の振りをしないといけないわけです。
喪服を着て、黒いバックを持って…
どこから見ても参列者の様子で、受付を通りました。
その葬祭ホールには最近の研修会でお目にかかった方も多いので、
最初は私の方が緊張をしました。ばれてはいけない…。
しかし、それらしく座席に座り、周りの様子を見るのはとても興味深かったです。
なかなか皆さん頑張っています。
開式が近づいて来ました。司会者がナレーションをしゃべり始めます。
この日はプロの派遣司会者が入っていました。
参列者は、開式前のナレーションを聞かないわけにはいきません。
シーンとした中に綴られる故人の人生には必ず誰もが、耳を傾けるのです。
だからこそ、司会者はきちんとした言葉で、トーンで、間で、しゃべる責任があります。
私自身、弊社井手の司会セミナーには、数え切れないほどの回数を見学、
又は、手伝っていますので、どうやら聞く耳だけは出来ているようです。
すぐにこの司会者のトーンが明るいことが分かりました。
語尾も延びます…。クセがついていますね…。
とっても高い音から、しゃべり始めます。
言葉の最後は低いトーンで着地をするのですが、全体にイベント司会的なしゃべりです。
きっと葬儀司会のセミナー等に参加なさっていないのだと思います。
全体的なしゃべりにはとても雰囲気のある方なので、とてももったいないと思いました。
「司会者の言葉は、葬儀の雰囲気や環境を作る」ということが、強く感じられました。
さてスタッフですが、スタッフ達は私がいることには全然気づかずに、
いつも通りの仕事振りを見せてくれました。
本番というのはなかなか大変です。
打ち合わせには無いことが必ず現れます。
「その時にこそどうするか…」が、スタッフの能力であり実力でもあります。
そんな時こそリーダーは、どっしりと構えていて欲しいと思います。
リーダーの気持ちがそのままスタッフに伝わります。
そして良くも悪くも、葬儀の空気を作ります。
見学させていただいた二つの葬儀は、どちらも導師の数が多くて、
真宗大谷派は4人、曹洞宗は10人の導師がひしめき合って、
祭壇前のエリアに座っていらっしゃいました。
通常の葬祭ホールの広さですから、それは仕方がありませんね…。
それをさばくスタッフはとても大変そうでした。
この場合スムーズに進めるコツは何だろう…とも、思いをめぐらせました。
私は、東京ではめったに見ることの出来ない、
荘厳な葬儀を体験させていただきました。
どちらの葬儀も、終了してからスタッフ達に会い、さすがに驚いていました。
そうですよねえ…。講師が参列者席に座っているのですもの…。
驚かせてゴメンナサイ。
しかし、講師としてとても貴重な経験でした。
皆さんの現場を見せていただいたことで、
より良くこの地方のスタッフの気持ちに近づき、
研修会の様々なテーマも浮かんで来ました。
スタッフについて気づいた細かい課題はリーダーにお伝えして、
この日の見学は無事に終了しました。
これからも現場で使える接遇スキルをご提供して行こう!と、心新たにいたしました。
皆様、大変お疲れ様でございました。
広い県内を片道1時間近くかけてご同行いただいたS氏にも感謝いたします。
ありがとうございました。