日本は現在、変死などで警察が取り扱う遺体が増えているのに、
解剖率は低迷しているという現状を受け、日本法医学会が国の予算で専門医の確保と、
仮称だが「死因調査事務所」の設置を各都道府県に求める提言をまとめたらしい。
少し荒っぽい言い方をすれば、9割以上の遺体が解剖されないまま「事件性なし」
と判断され、もしかしたら<見落とした犯罪>の可能性も否定できないとしている。
警察が取り扱う遺体の数は、1997年には約9万4千体(全国)、
年々増え続け2007年には約15万4千体(全国)と、10年で1.5倍だ。
その内、行政解剖と司法解剖が行われたのは1万5千体と5千9百体だから、
解剖率は9.5%にとどまっているのだ。
その解剖率だが、全国的には地域差が大きいのも特徴だ。
「監察医制度」がある東京都はや神奈川県は17.7%・28.1%に達するが、
同制度も無く行政解剖の実施が少ない地域は全国平均を大きく下回っている。
例えば私の地元福岡は2.3%、鹿児島は2.9%だ。
各都道府県の予算を見ても、東京の6億6千万から山口の0まで格差が大きい。
25府県が100万以下だということらしい。
1体当たりの解剖費用も格差があり、富山は30万で一番高額で、
茨城、群馬、和歌山、香川は25万、神奈川5万、佐賀6万、
北海道、京都など24道府県は7万円。
専門医不足も深刻である。
佐賀は、司法解剖を引き受けていた教授が転出して後任が決まらず、
専門医が0になったと聞いている。(今はどうなのだろうか)
国も行政も、しっかりと予算面での支援をして欲しい。
現状のままでは、世界の中で「死因無視社会」と言われかねない。
死因究明は、立派な福祉のひとつですよ。
死者の尊厳を傷つけてはいけません。
結局、犯罪の見逃しに繋がるし、社会の安全が揺らぎます。