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2008年11月13日

両親の部屋探し その2(加藤直美)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

3社目は、近所の方のご紹介でした。
実は、私の自宅のすぐ側にマンションがあって、
「そこが空いたらいいねえ」と母とも話していました。
その物件を担当している不動産屋さんのMさんという女性です。

今回の部屋探しは、賃貸マンションです。
母は、「もう一戸建ての暮らしは、たくさん」と言いました。
「庭の手入れ、草取り、屋根や床下、壁の修繕は、もう気にしたくない」と・・・。
実に、地方での年寄り二人だけの生活は大変なのです。
母も78歳になりました。
「色々なことをコンパクトにして暮らしたい」、
「鍵ひとつで戸締りのできる、小奇麗なマンションに住みたい」と言いました。
そして「いつでも好きに使える、賃貸マンションが楽だ」とも言いました。
この歳になって、さらに新しい人生を生きようとする母に、私は感動しました。

40年以上も一戸建てにしか住んだことのない両親には、
「両隣の音が気にならない鉄骨マンションがいい」ということで、
選択の希望に入れて探していました。
日当たりが良くて、買い物が便利、私の家から近い場所・・・。
そして、探し始めて10件目位になったとき、遂に見つかりました。
私の自宅から、歩いて5~6分。自転車では2分。
少し車の音はしますが、住み始めれば慣れて行くでしょう。
南向きの明るい部屋です。


 

 


今回の不動産担当の女性は、とにかく仕事が速かったです。
私たちから希望を聞くと、すぐに物件のFAXが送られて来ました。
それも結構な数です。
最初の希望では、なかなか見つからないことが分かると、
代替案を示して来ました。
「もう少し、住所の範囲を広げてみましょうか?」
「多少値段をあげられるとしたら、いくらまで可能ですか?」
「この場所の利点は、こうです」
その内に私達が色々と見過ぎて、ワケが分からなくなって行った時には、
「そろそろこの辺で、決めましょうか?」と、さりげなく肩を押してくれました。

このセールス方法が、そのまま葬儀に使えるとは思いませんが、
「部屋を探す」という問題を抱えた私達を上手にリードしながら、
「聞く耳」を持ちながらサポートして行くことは、
葬儀担当者にもつながるスキルであると思いました。
不動産屋さんの仕事は、「部屋を探す」だけのことではありません。
これから先の、我が両親の第3ステップの生活をよりよくスタートさせて、
残りの人生を心地よく生きるためのサポートをしてくれているのだと思いました。

ようやく東京の部屋が見つかり、
続いては両親の自宅の片づけが、本格的に始まりました。
4DKの家にあった荷物を2LDKのサイズにするためには、
とにかくモノを片付けることしかありません。
ズバリ「捨てる」ということです。

この数ヶ月、東京へのIターンが決まってから、
両親や私達兄妹の思い出を大切にしながら、少しずつ片づけをして来ました。
しかし、もう感傷に浸っていられないところまで期日は迫りました。
今週末は又、水戸へ帰り、モノの整理です。
両親の家を丸ごと片付けるなんて、この年になったらラストチャンスかもしれません。
神経を使いますし、何せ体を使います。腰が痛い・・・。
母は、いらなくなったモノをどんどん捨てています。
この潔さにはいささか驚いています。
老親の新たな人生をサポートするために、私ももう一息、頑張ります。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2008年11月13日 09:00

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