一人目の子供というのは、何から何まで初めてつくしで、
新米母親として緊張することも多かったです。
しかし楽しみもたくさんプレゼントしてくれました。
3年目に次男が生まれて、その日から長男は「お兄ちゃん」と呼ばれて、
知らず知らずに何でもしっかりするように、教育?されました。
今思えば、あまりいいことではないようです。
彼は、彼であり、一人の個人であり「お兄ちゃん」ではないからです。
ある意味、我が家の長男も、幼いときは多少神経質で、
何かをする時には、親の目を気にするようなところがありました。
その後生まれた次男は、マイペースです。
臆することなくナンにでも挑戦するタイプです。
私もそんなところがありますが、逆にこちらが心配するほど自由人で、
開拓精神旺盛な高校生です。
片や長男は、高校生時代は思いっきり、私たち親に反発していました・・・。
校則の厳しい私立高校へ行ったものですから、先生に反発したこともあったようです。
心配した私は、三者面談を申し出て、
学校の様子や先生との関係を何気なく探ったこともありました。
無事に高校を卒業はしたものの、やはり・・・
未だ何を考えているのか全く分からない長男です。
その息子が、成人式の式典に出かける時に、
スーツやワイシャツを色々と心配する主人に、
「今まで、育ててくれて、ありがとう・・・」と言いながら、1通の手紙を渡しました。
私たちは呆気にとられました。
手紙なんか期待しているどころか、ちゃんと遅刻しないで式典に行くのだろうか・・・
とか、気が変って参加しないかも・・・なんて余計な心配していた私たちには、
本当に驚く出来事でした。
息子が私と夫に書いた初めてのきちんとした手紙です。
結婚式の司会の仕事では、本当にたくさん、新婦からご両親への手紙を代読しました。
娘がいればこんな形で、感動的な手紙をもらえる日がいつか来るのだろうが、
我が家は男の子二人で、息子からの手紙なんて期待できない・・・と、
はなからあきらめていました。
その手紙をまずは夫が読みました。
もう、夫の顔はくしゃくしゃで、涙ぐんでいます。
鼻をすすりながらやっと読み終えました。
私もすぐに、便箋3枚にびっしりと書かれた手紙を読みました。
丁寧に書かれている手紙です。
今までに息子は、自分の気持ちなんて私たちに言ったこともないのに、
こんなことを考えていたのか・・・と、本当にびっくりしました。
私達が、気がつかない内に、しっかりと育っていたことが分かりました。
私達親の頑張りをよく見ていることも分かりました。
自分のこれから、そして私達への気持ちが素直の書かれている手紙を読み終えて、
私も涙・・・涙・・・でした。
その中で、最後に書かれていたことが「・・・今まで、『ありがとう』や
『ごめんなさい』は言えたけど、恥ずかしくて言えなかったことがあるので、言います。
『お父さん、お母さん、二人のことは本当に、大好きです』」
という文面がありました。
これには主人も私も、又、最後にうれしくて泣きながら、手紙を読み終えました。
二十歳の息子から、「大好き」と言ってもらえるなんて、思ってもいなかったです。
これから息子も、大変な時代を生きて行くのでしょう。
でも、「生を受けたこの時代に、自分らしく精一杯生きて欲しい」と願ってやみません。
子育てのゴールなんて、いつまでも無いかも知れません。
親はいつまでも、子供の心配をしながら見守るのでしょう。
息子には心から「私達の元に生まれて、ここまで育ってくれて、ありがとう」と、
伝えたい気持ちでいっぱいです。