実は父は、「睡眠時、無呼吸症候群」という病気も持っています。
発作で意識が無い間も、その病気はしっかりと父を支配しましたから、
眠っている間に呼吸は、しょっちゅう止まります。
長いときには60秒ほど止まりましたので、見守る私たちは
「あっ!もしかしたら・・・」と思う瞬間が数限りなくありました。
もちろん心電図にはつながれているので、ナースステーションでは、
なんら問題にしていないのですけれど、まじかにいる私たちは、
こちらまで息が止まりそうという状態で、見守っていました。
私たちはその日から「近い内に身内を看取るかもしれない家族」になりました。
家族から遺族になるかもしれないという、
あまり経験したことの無い日々を過ごしています。
今、あの日々を思い出しても、どうしても思い出せないことが多いです。
私は毎日、病院から帰って、その日の記憶をたどっては書き綴っています。
その言葉や状況をパソコンに残しています。
人間は、心が耐えられないような慌しい日々のことは、
忘れるように出来ているんですね。
その文章を読み返して思い出すことが多いです。
何せ、こういう仕事をしていますので、時には冷静な目で、
父や家族、病院スタッフを見ていることがあります。
(そんな自分が、ちょっと嫌になることもありますが・・・)
プロの講師の意識と、娘としての意識と、ごちゃまぜになっている気持ちを、
なるべく整理しながら、今多くのことを学んでいます。
これは父から私への「最後のプレゼント」かも知れません。
父は実際には、1週間ほどで意識を取り戻しましたが
「これ以上の回復は無い」と言われています。
一時期、父の命はとても緊迫しましたので、その間、遠くの親戚が、
お別れの為に訪ねて来たり、葬儀の事前相談をしたり・・・。
今、少し落ち着いた父を見守りながら、出来る範囲で、
日々のことをエッセイにまとめていこうと思っています。
私達家族は今、先のことがまったく見えず、時間が止まっているような日々です。
「家族は、第2の患者である」という言葉が、重く胸に響く毎日です。