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2009年03月05日

音声エッセイ#96 神道の鯉 編 (DJ☆Kazz & Kojocho- )

カテゴリー : 音声エッセイ 音声エッセイ

神道の飾りの理屈や、実際の神饌物の地域性はバリエーションが多い。
高知県のカツオ、千葉のイナダ、北陸のブリ、出雲のドジョウ…。
中でも一番面白かったのは、秋田県の金魚を鉢ごと飾ってある話。
神道で焼香なんてものは、田舎に行けば当たり前だ。
その他、珍しいのは宮崎県の一部に残っている獣肉。
本来、獣肉は禁止されているはずなんだけどねえ。
さすが、天孫降臨の地だから・・・そんな訳ないか。
宮崎県で一番見てみたいのは、西都原考古博物館と西都原古墳群。
311基もの古墳があるって言うんだから、興味深い。
まっ、話がどんどんそれそうだから、今日は神饌物の鯉のお話。
(下段には、収録時の原稿も載っています)








原稿をどうぞ。

昔々、私が人材派遣で働いていた頃、
昔々、私が高級な時間給で働いていた頃、
昔々、葬祭業界がなんとなく穏やかで、それなりに儲かっていた頃、
昔々から、神道のお葬式は比率が少なく、珍しかった。

神饌物って、分かりますよね。
神に捧げる食物なんですが、地域性があってバラバラなんです。
東京では海の幸の代表としてタイ、川の幸の代表として鯉を捧げるのですが、
今日は、鯉のお話。
(わーすれられないのー、あの人が好きよ・・・鯉は鯉でもそのコイじゃないって)

人材にいた頃の、物を知らない頃のお話ですから笑ってください。
その日は、神道の飾りを手伝わなければなりませんでした。
社長から「井手くん、コイをシメて縛ってくれんか」
「あっ、はい」と返事をしたものの、
飾り付けを見たことはあるのですが、コイをシメた経験がありません。
恐る恐る「あのー、どうすればいいのですか」
と、バケツの中で元気よく暴れているコイを見て訊ねると、社長は
「大丈夫、まな板の鯉っていうだろう、まな板の上に乗せたら静かになるから」
「あー、そういうもんか、さすが物知りだなあ」、
コイさんも、往生際は感じるらしく、大人しくしてくれるもんなんだ・・・と思った次第。
結果、とんでもありません。
まな板の上で暴れること暴れること・・・そりゃあそうだよねえ、
誰だって生き延びたいもんねえ、生物としての本能だ・・・ふと横を見ると、
社長以下スタッフがゲラゲラ笑っています。
「だまされたー」

ここでちょっとウンチクを。
まな板の上の鯉が静かなのは、実は失神しているからです。
プロの調理人は、コイの側線を包丁の背中で撫でます。
ここには、コイの特殊な感覚器があって、ここを撫でられると、
コイはいとも簡単に失神するのでした。皆さん、知ってましたか。
私の経験では、知らない葬儀社さんの方が圧倒的に多かったですよ。

原稿と一番違うのが、ピンキーとキラーズの歌だよね。
しゃべっている途中で、歌う気が失せてしまいました。
後は、適当なアドリブかな。

実話が元になっているお話ですが、
これ以降、神饌物の鯛や鯉は死んでいるものを買うようにしました。
作業が全然楽だし、神前で<絞める(しめる)>っていうのは…ねえ。
また、後になって分かった話しですが、この時の購入者が、
「○○君、シンセン物を買ってきて、リストはこれね」と社長に紙を渡され、
<神饌物>を<新鮮物>と勘違いしたしまったとか。
馬鹿やろう、生きたまま買ってくるんじゃねえよ!

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2009年03月05日 09:00

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