ヒトゲノムが解明されて数年経つが、その頃からDNAに興味を持ちだした。
当時話題となった書物は「イヴの7人の娘たち」だったかな。
人間の細胞器官であるミトコンドリアは、女性の先祖だけは正確に過去へと遡れるので、
我々の祖先である人類（ホモ・サピエンス）のスタート時点が何処であって、
最終的に誰に行き着くか…そんな面白い話であった。
（西アフリカのたった一人の女性、ビックマザーに行き着く）
日本では「パラサイトイヴ」という小説も面白い。
余談になるが、西アフリカからエジプトあたりに、
とてつもなく大きな橋を架ける計画が持ち上がっている。
有名なビィンラディンの親戚の方が総責任者だったと記憶しているが…。
人類史上、世界へ渡っていく歴史的な冒険の第一歩となった、
かつては船で渡った有名な海峡に橋を架けるのだ。
さて、話をもっともっと、ずーと古い世界へ戻そう。
地球誕生の頃、水に覆われた個体惑星表面に存在する有機化合物。
これがある反応によって生命となり、我々の遠い先祖であることは間違いない。
勿論、ヒトの誕生までには、数十億年という長い時の経過が必要だが。
一般に生物は、単細胞から多細胞へと進化を続ける。
海の中で誕生した、バクテリアという単細胞生物。
単細胞のバクテリアのDNAは、二重螺旋構造にはなっておらず、
どこまでいっても環状なので＜末端＞がない。
ヒトの老化は、染色体の＜末端＞にあるテロメアが、
細胞分裂を繰り返し短くなっていく。
一説には、生涯50カウント程度らしく、これが老化そのものだ。
（私なんかは、テロメアが40カウント程度は超えているだろう）
バクテリアのDNAには、構造的にもそんなプログラムが無く、
まったく老化（酸化）しない。
これは永遠の命だと言っても良いだろう。
生物は、出来ることならば不老不死でありたいはず。
地球上のあらゆる生物は、そう感じるはずである。
そもそも生物のプログラムに、死や絶滅が刻まれるはずは無いだろう。
DNA内の細胞小器官「ミトコンドリア」は、ヒトの真核生物に、
あるタイプのバクテリアが共生したことによって誕生したものだ。
このミトコンドリアになった単細胞のバクテリアは、
まさにエネルギー産生工場で、活性酸素を発生してくれるのだ。
生物は生き残るために、活性酸素をだしてくれるバクテリアと共生したのだ。
そして動物と植物が分岐した後、植物に至る系統では、
光合成細菌シアノバクテリアが共生し、これが葉緑体となった。
動物も植物も、それぞれ自分にとって都合の良いバクテリアを取り込むことで、
まさに共生し、複雑な生命体を一気に創出したと考えられている。
このバクテリア、人と共生して、今では宇宙空間にまで登場している。
ミトコンドリアとなったバクテリアも、葉緑体となったバクテリアも、
恐ろしいまでの生命力を持っているとしか思えない。
因みに生ゴミの処理も、バクテリアがやってくれています。(恐ろしい生命力)
皆さん、バクテリアに感謝しましょう。
このバクテリア、一体何がプログラミングされているのだろうか？
ヒトも（個体ではなく集合体として）DNAレベルでは不老不死のようだ。
我々の背骨は、魚類時代の進化過程を残すし、
(背骨がそうだし、母親の胎内で指が出来る際の水かきもそう)
しゃっくりは両生類時代の残り（エラ呼吸と肺呼吸の名残り）、
手の形にしたって親指だけが反対方向にあり（あるモノを掴む名残り）、
心臓の位置にしたって妙な場所に追いやられているし、
五十肩に至っては、二足歩行を獲得した代償と(だから病気ではありませんぞ)、
不思議とぼろぼろの設計ミスだらけが、まさに人体そのもの。
その場しのぎの進化の過程が良く表れている。
こんなに手先と脳が発達するとは、先祖は考えも及ばなかったはず。
体重の2パーセントの脳が、消費エネルギーだけは約20パーセント。
さすがにこれでは、能率が悪すぎるだろう。
最初からこうなることが予測できていたなら、
人類はその姿形さえ、今とはまるで違っていたはずだ。
将来、宇宙空間というまるで違った環境で生活するようになると、
重力という「くびき」を逃れ、新人類が誕生するかもしれない。
その時、どのような姿形になっているのだろう。
遠い未来の話だから、今度の設計ミスを予測するのは難しい。
バクテリアのプログラムも書き換えられるのか。
それでも、我々人類の先祖は凡そ7人までは分かっている。
