態々こんなワークショップにで出なくても、
目を瞑れば暗闇を体験できるじゃないと、思うかも知れません。
ただ、ずっと真っ暗な中で目を瞑るのと、
明るい中で目を瞑るのとでは、少し違うのです。
目を開けても暗いままというのは、
これは、本当に視覚を当てにできないという気分にさせられます。
白杖を持って、作られた林道や砂利道の上を歩くのですが、
この白杖があまり役に立たない。
慣れないと、難しいのかもしれません。
むしろ、足の裏や手の甲、あと、匂い等の情報が、
自分の位置や状況の理解を助けてくれます。
途中、民家があって、(もちろんそこも暗闇です)
そこに野菜や家具が置いてあるのですが、
視覚情報が無いと、ただ手に触れることや匂いをかぐことが、
楽しくなってきます。
目の見えない人には、よくモノを触らせなさいと聞いていましたが、
実際に体験してみると実感するなぁ。
後半、駅のホームによくあるような黄色いブツブツのタイルの上も歩くのですが、
あの上を歩くのは、結構難しいと実感しました。
普通の道と、段差がある前と、タイルの種類が違うのだけれども、
意識しないと気付きません。
また、注意しないと段差は怖い。上りも下りも。
バランスを崩す第一の要因だと思います。
なだらかな坂でも、ちょっとグラッとします。
もし、視覚障害者を案内する機会があったら、
坂の有無も教えてあげるとやさしいのかもしれません。
段差がないこと(バリアフリー)は、
視覚が失われると非常に助かりまよ、ええ。
葬祭会館でも、バリアフリーが進んでいることは、
非常に良いことだと思います。
このワークショップの最後には、
暗闇のバーがあって、そこでは実際に飲み物が飲めます。
私は赤ワインを頼みましたが、
現場でワインを注いでくれるのです。
(マスターは、赤外線スコープでも付けているのかしら)
このワインが注がれる音から、ワインの匂い、
ワインが喉を通る感覚まで、普段意識しない部分が刺激されて新鮮です。
逆に、食事の時ですら、いかに視覚に頼っていたかも実感できます。
たまには、目を瞑って食事するのも良いかも知れません。
感覚が研ぎ澄まされた体験でした。
ワークショップは2時間ほどでしたが、
視界が明るくなると少しクラクラしました。
もしかしたら、世の中には、
視覚情報があり過ぎているのかも知れませんね
視覚以外の情報に、目を向けてみるのも良いのかも知れません。
まさに、視点を変える、ということですね。