そんな訳で、死装束に関して。
死装束とは、 死者に着せる衣服のことで、
かつては故人とゆかりのある女性の手によって、
糸尻を止めずに縫われました。
「引っ張り縫い」と言われますが、
複数の女性で縫うことで「忌の分散」をするんですね。
僧や巡礼者の姿になぞらえ、上記の経帷子を含め、
手甲や脚絆や草履や杖等も合わせて故人に身に着けて送り出す…。
死装束は、「死者を送る」という意識が強かったもののように思います。
ただ現在では、故人が生前に好んでよく着ていた服を着せたり、
先日のフェアで出展していた「姉妹ソーシング」さんのようなオシャレな衣装があったり、
映画なんかでは、ウェディングドレスを着てたり。
浄土で先祖に逢ったら、きっとビックリするような服装でも、
OK?という風潮になってきました。
(参考: http://www.47news.jp/CN/200907/CN2009072601000310.html)
宗教心が薄れと言ってしまえばそうなのでしょうけれども、
以前の慣習が持っていた意味(忌の分散など)も一緒に切り捨てられてしまいそうなのは、
どうなのかな、という気もします。
昔の葬儀の慣習は、遺族が独り心的負担を背負ってしまうことを回避し、
地域の皆で故人の死を乗り越えようという姿勢や態度を大切にするものが、
多かったように思います。
今は、その「形だけ」が残って形骸化しているように消費者に思われ、
切り捨てられていることも多いのではないでしょうか。
本来は、葬儀に関わる者が、葬儀の文化や伝承を、
守っていかなければならないのでしょうけれども…。
変化することも大切ですし、なかなか難しい問題だと思います。
ただ、近年顕著になってきている会葬者の減少は、
葬儀内容の形骸化ではなく、葬儀という儀式自体に、
疑問符が打たれ始めているのかもしれないと警鐘を鳴らしているようにも思えます。