さて、民主党政権になって気になる政策の一つが『夫婦別姓』。
慎重派だった自民党から、賛成派の民主党・社民党に政権交代しましたので、
夫婦別姓の気運が一気に高まっています。
早ければ来年の通常国会で、
夫婦別姓を盛り込んだ民法改正案が提出されるかもしれません。
(10月5日の毎日新聞の社説にて。)
夫婦別姓とは、婚姻時に両者の苗字を統一せず、
夫婦それぞれが婚姻前の苗字を名乗り続けることです。
賛成派の主張としては、職業上の成果や業績の連続性を保てること、
結婚に伴う免許書やパスポートの変更手続きの煩雑さを回避できること、etc.。
反対派の主張としては、夫婦別姓にする切実な理由がない(仕事では旧姓を
通称使用すればいい)、子が姓を選択するときにストレスになる可能性がある、
家族の一体感が損なわれる、etc.。
個人的には、墓地に統一感が無くなる気がして夫婦別姓は気が進みません。
一つの家の敷地内に様々な姓の墓があると、どこの系譜かわかりずらいですし。
また、苗字が別になることで家族の一体感が薄れる怖れがあることも、
気になります。
苗字の歴史を遡って調べてみますと、
江戸時代は、武士階級以下の者は公に苗字を使用することが認められませんでした。
明治に入って、太政官布告により平民にも苗字の使用が許可されるようになりました。
間もなく戸籍法施行。苗字の使用が義務化されます。
さらに明治民法成立で家制度を導入。戸籍は家を示すものとされました。
婚姻やその他の身分行為は、戸籍上の届出を形式的な成立要件とするようになります。
第二次世界大戦を経て、改正民法が成立。明治の家制度は廃止されました。
婚姻は当事者の同意があれば可能になります(憲法24条)。
そして、夫婦の氏は夫または妻、いずれかを選べるようになりましたが、
夫婦同氏の原則は残ったままです(民法750条)。
…という訳で、苗字の制度の歴史は、案外浅いですね。
歴史の流れを見ていて感じるのは、苗字を付けるようになったのは、
大政奉還後、天皇家に権力が移ってすぐの政策だったということ。
また『神社と神道』神社オンラインネットワーク連盟というサイトには、
「夫婦別姓は行き過ぎた個人主義」と反対の意見を表明していました。
苗字を付けるということ、また、家として苗字を統一させることは、
政治の動きと関係しているかもしれませんね。
(そういえば、かつて日本が朝鮮に侵攻したとき、
朝鮮住民に日本風の苗字を付けさせていました)
アジア諸国では夫婦別姓の方が一般的だそうです。
よその慣習に合わせる必要はないと思いますが、
夫婦別姓を盛り込んだ民法改正案がもし提出されたら、
結構大きな議論の火種になりそうな気がします。