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2009年10月16日

「なぜ遺族が右側に座るのか?」を調べる (工場長)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

わからないことがあった場合、様々な手段を使って調べます。
例えば、言葉の意味を調べるのであれば広辞苑が一般的でしょう。
アクセントの位置であれば、アクセント辞典。
インターネットのホームページも、手近な情報源です。
【ウィキペディア(http://ja.wikipedia.org/)】等、集合知の総合サイトもあります。
ただ、信憑性に欠けている情報も多いのも確かです。

本屋も、重要な情報源です。
本屋に行けば、それに派生して別の書籍に出会って、知識が広がることもあります。
また、今の流行の情報に触れることもできます。
(立ち読みできるというのが、良いですよね)

情報を調べる方法は、色々手段があります。
それらの中でも「人(に聞く)」ということが、最も良い情報源かもしれません。

先日、一つの質問をいただきました。
「葬儀の際、遺族が右側に座るのはなぜですか?」
言われてみれば、ほとんどの葬儀で遺族は右側に座ります。
一般の葬儀でも、青山葬儀場でも、遺族は右側の座席です。
しかし、その理由は明確に知りません。
ということで、さっそく調べてみることになりました。

まず、最初に行ったのはインターネット。
GoogleやYahooといったホームページに行き、
検索欄に『遺族 右側』などと言葉を入れ、
尤もらしい答えが載ってそうなページを探します。
大抵の場合、インターネットで調べるだけで、凡その答えは見つかります。
しかし、今回の場合はピンとくる内容が得られない。
「棺は頭を右側にして置く。遺族は故人と最も近い場所に座るので、右側になる。」
など理解できそうな内容もありましたが、
本当かどうかは裏付けが乏しく不明です。


次に、本屋に行きました。
葬儀に関する本は、よく冠婚葬祭コーナー・宗教コーナーにあります。
パラパラとページをめくってみますが…。
一般の本屋では冠婚葬祭のマナー本がほとんどで、
席次として遺族が右側に座ると指南しているものはあるのですが、
その理由まで踏み込んで書かれているものは皆無でした。
うーむ。
ま、「○○出版や●●出版の本に書かれていましたので」ということを言えば、
それなりに納得できるものかもしれませんけど…。
いや、出版社の名前では納得しませんね。

ということで、いよいよ専門家に聞くことになりました。
以前も、神道のことを神社本庁に、火葬のことを火葬場に、
電話をして質問したこともありました。
今回もその道の専門家に聞いてみようと思います。
ということで、質問させていただいたのは、
浄土真宗本願寺派、教学伝道研究センター。

浄土真宗であったことと、教義に関わる内容になるかもしれないということで、
社長が連絡をとることになりました。
(何か、巻き込んでしまってスミマセン)
社長から一通り質問が終わったところで、解答は書面で送るということでした。
さすが、研究機関。対応がキッチリしている。

数日後、回答が送られてきました。
抜粋してみますと、
①浄土真宗本願寺派においては、「葬儀規範」に沿って葬儀を行うことを勧めている。
  参考として添付された葬儀規範のコピーに、遺族が右側に配置された図がある。
②しかしながら、それら規範の全てに教義上の理由があるわけではない。
 今回の質問についても、教義上の理由となりそうな参考資料は見当たらない。

…おおお、なるほど。
浄土真宗本願寺派の葬儀では、「葬儀規範」に沿って葬儀を執り行うことを勧めている。
そこには、遺族が右側に配置された葬儀の図が描かれている。
しかし、全てに教義上の理由があるわけではなく、遺族が右側に座る理由に関しても、
特に理由はない、…ということですね。

特に理由はない、か。

しかし、これで自信を持って言えますな。
「遺族が右側に座るのは、特に理由はありません」と。
(「ふーん」という声が聞こえてきそうですが)
宗教上の理由ではないということは、
習俗上の理由からきていると予想できますけど。

キチンと調べるということは大切ですね。

ご回答といういただいた浄土真宗本願寺派、教学伝道研究センターの皆様、
ありがとうございました。


<井手のわり込み>

例えば遺族が、右左どちらかに座らなければならない状況があったとして、
どちらに座らせようかと考える人がいた場合。
その際、以下の理由から「右に遺族を座らせよう」と結論を出したのではなかろうか。

1.舞台においても、上手側の方が動きが少ないのでそれに習った。
2.神道では、右側の席が必ず上位(棺の頭も、必ず右が来る)だから、その正面。
3.式場全体の図形をみた場合、後方の入り口から入って一番奥の右側が、
和室の場合(かつては和室中心)、上座・上席になることが多いから。

舞台の上手下手の関係、神道での右左の関係、かつての和室の上座下座の関係…
そのような関係性を考察すれば、遺族が右側に座ることは極自然なことです。
これは私の考え(推測)ではありますが、
誰か重要な意見をお持ちの方がいたら、教えていただけますと幸いです。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2009年10月16日 09:00

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